事例紹介

ベトナムから日本への輸出会社調査と輸出サポート

船は目的地の港に到着し、次の手続きの準備が始まります

プロジェクト概要

中国からベトナムへの生産拠点移転に伴い、日本向け輸送の最適ルートと企業を調査。FTAを活用し、コスト・品質・安全性を満たすベトナム輸送企業を選定。契約交渉や輸送管理を支援し、効率的な物流体制を構築した。

お客様からBizmatchへのご依頼相談内容

以前ウォンズチーム(Bizmatchサービス)にて中国からベトナムへの生産拠点移転のご依頼主から中国からベトナムへの生産拠点移転に伴う最適な輸送会社と輸送ルートの調査・選定の追加ご依頼でした。

中国からの輸入時は中間業者を使って商品調達をされていたので工場の生産を含めて中間業者にお任せしていましたが、品質改善が進まないことや価格面の交渉が直接できないなど課題がありました。

中国の経済不況や円安という外部影響もあり、今回ベトナムの商品調達では、製造工場・輸送ルートともに直契約して、自社の海外取引ノウハウを蓄積するとともに、品質面・価格面においても、より取引先のニーズに対応できる体制構築の支援をウォンズへ要請いただきました。

プロジェクトの目標

第一目標は、ベトナム国内の輸送に関して、ベトナム国内で海外取引実績(特に日本輸出実績)が豊富かつ、価格・体制の両面で競争力のあるベトナムローカル企業の調査・選定をすることです。

第二目標は、日本輸出に向けて、製造工場への梱包や輸送書類の準備アドバイス、商品引き取り〜日本への引渡しまで商品の安全輸送の管理・改善のコントロールができる企業であることです。

プロジェクトの進行

輸出入の流れの理解を進める中で、日本は現在、ベトナムと二国間および多国間自由貿易協定(FTA)を締結している国際パートナーであり、日越2国間取引は他国と比べても優位性があることを深く理解いたしました。

具体的には、両国間の物品貿易は、4つのFTAによって支えられています。

  1. 2009年10月1日から効力を発揮しているベトナム・日本経済連携協定(VJEPA)
  2. 2018年末から効力を発揮している環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)
  3. 2010年8月1日から効力を発揮しているASEAN・日本包括経済連携協定(AJCEP)
  4. 2022年1月1日から実施されている地域的な包括的経済連携協定(RCEP)

これらの2国間協定および多国間のFTAのおかげで、ベトナムから日本への商品は基本的に税の競争優位性を享受しています。

また機械製品、縫製品、またはベトナムの水産物などは、関税率が0%となっていることは価格面でも大きなアドバンテージになります。

ウォンズチーム(Bizmatchサービス)の強みのひとつはベトナム国内における専門分野の組織ネットワークに参画していることです。今回であれば物流関係の組織ネットワークから情報提供を受けた10社の輸送会社候補の情報を取りまとめて比較検討した結果、3社の有望な会社を一次選定いたしました。

さらに私たちはベトナム輸送会社3社とのオンライン会議をすることで、企業のサービルレベルや企業レベル、価格、柔軟性などを深く評価チェックしました。依頼主の条件を満たせる高いサービスレベルを提供する輸送会社を探していたため、オンライン会議では1社あたり2時間以上をかけて意見交換と情報収集を進めました。そして、最もサービスが高く、コストが合理的な輸送会社を選びました。

今回選定した会社には、日本人スタッフが在籍しているため、依頼主からの直接的な連絡のやり取りが最も効果的に行えます。さらに、この輸送会社ではベトナムから日本国内まで荷物の輸送をすることができ、サービスの中で難しい関税や保険の手続きを代行して行ってくれます。そのため、必要な荷物情報を輸送会社へ提供すれば、後は日本で荷物が届くのを待つだけとなります。

港で船に乗せるコンテナをバンニング

輸送会社と契約を締結する場合、納期遅延・トラブル・緊急事態など発生時における補償と責任免除に関する規定を理解して締結する必要があります。商品を長期間輸送する必要がある場合や、輸送ルート通過中に問題が発生した場合のリスクや損失を防ぐために、製造工場・輸送業者・依頼主の3社間における責任範囲を明確に課題分離を行う必要があります。

私たちは常に依頼主の立場寄りで輸送企業と契約条件の交渉を進めて、両社の合意点まで交渉を導き、契約締結をすることを心がけています。

ウォンズ日本・ベトナム両チームによる具体的なサポート内容は、依頼主が工場へ注文した製品をベトナムから日本へ輸出するための最適な輸送方法の調査とご提案、見積書を構成する詳細項目の説明、輸出・送金・納税・引き取りに関する書類の手続き方法をサポートしました。さらに貨物の輸送を正確に行うために、製品の製造会社と協力して詳細な生産計画を作成サポートしました。注文日、原材料の仕入れ期間、製造期間、検品、梱包、運送業者への引き渡しの日程の情報が記載された生産計画です。製造期間中は、運送会社と連携して輸送船の運送スケジュールを設定サポートし、お客様と情報連携に努めました。ベトナム企業の製造が遅れることや輸送船の出航が中止になった時は、すぐに状況を把握し最新のスケジュールを依頼主へ共有できる体制を構築しました。

輸送船の出発日が確定すると輸送会社は輸送される貨物の詳細情報をまとめます。商品名、数量、重量、HSコードが、請求書(Invoice)や梱包明細書(Packing List)を含む通関書類に明確に記載されていることを確認した後、運送会社が通関手続きを行い、日本のお客様の指定住所先まで手配をします。

プロジェクトの成果

貨物をコンテナにバンニングし、積み込んだ貨物の内容の確認

本プロジェクトの第一目標は価格・体制の両面で競争力のあるベトナムローカル企業であること、第二目標は日本輸出に向けて、製造工場への梱包や輸送書類の準備アドバイス、商品引き取り〜日本への引渡しまで商品の安全輸送の管理・改善のコントロールができる企業でした。

この度、私たちウォンズから依頼主へビジネスマッチングできた輸送企業は、ベトナムローカル企業でありながら日本企業が求める条件以上のご評価とご満足をいただけました。

今回マッチングした輸送会社は依頼主に寄り添う姿勢は素晴らしく柔軟で、ひとつの事例ですがベトナム製造企業が梱包した状態のチェックを引き取り時に現地工場で行い、その場で必要なアドバイスもしてくれます。

さらに安全に輸送をしていることを証明するためにコンテナに入れる前の写真を撮影し、依頼主へ共有してもらえる安心の仕組みを構築しました(これは他の輸送会社では提供していないきめ細やかなサービスでした)。

ベトナムのスタッフが大変だったこと

依頼主の要望と条件を満たせる輸送会社を調査・選定するにあたり、ベトナムから日本への輸出に関して必要な流れや手続きに関しての詳細情報が閉鎖的であったことでした。

輸送会社を選定するにあたり、輸送会社ごとの詳細情報を引き出すためには実際の依頼主や輸送製品の情報を提示しなければお互いに正しい情報交換や交渉ができず、共有される限られた情報の中から深掘りの質問と回答を繰り返し、比較検討に必要な情報構成を組み立てていく過程は大変な労力と時間を要しました。

具体的な例のひとつとして、輸送会社には商品名、数量、重量、大きさ、用途、通関用のHSコード、輸送先住所、輸送希望日など正確な情報を提出しなければ正確な見積を確認することができません。重量や大きさは製品単体ではなく、最終的に梱包された状態を想定するためベトナム製造企業と何度も連絡を取りながら情報収集を進めました。

次に大変だったのは専門用語、輸送費用の計算に必要な詳細項目を調査・把握・理解することでした。ウォンズ担当者は各輸送会社と交渉するにしても、専門知識と専門用語を正しく理解していなければ、うまく輸送会社の都合のいいように丸め込まれてしまいます。

私たちには依頼主へ正しい知識で正しい方法を説明をする責任があるため、各社から収集できた情報から毎日色々な単語を覚えて、整理して、組み立ていきました。また、海外運送料の計算方法は輸送形態によっても異なります。40フィートおよび20フィートのコンテナを用いるフルコンテナ輸送(FCL)と、混載貨物輸送(LCL)があり、商品の梱包状態とロットによって、どちらの輸送形態が依頼主にとってお得かを輸送会社任せではなく、ウォンズとしても算出する経験を積みました。

さらにより深い知識としてひとつご紹介すると、混載貨物輸送(LCL)では、CBMという単位に基づいて計算されます。ややこしいことにCBMは2つの計算方法があり、重量(トン)と梱包後の実際の体積(立方メートル)のどちらか大きい方が輸送の重量として計算され、正確なコスト計算が行われます。

そして、製品が入った段ボールにラベルを貼る時には、製造単位の名称、製品名、原材料、包装規格、単位などの要件を厳守する必要があり、よく理解をして進めなければ、間違ったラベルで罰則が課せられる場合もあります。そのようなことを避けるために、運送会社からのアドバイスを依頼主だけではなく、ベトナム製造企業側にもウォンズ担当者は説明して正しく理解頂いた上で、正しい輸送の準備を進めてまいりました。

ベトナムのスタッフが工夫したこと

私たちはベトナム国内搬送〜ベトナム輸出〜日本輸入〜日本国内搬送のプロセス詳細と輸送構造を分析調査するとともに、輸送に関わる計算方法を学び・把握する努力をしました。

輸出入プロセスについての知識を習得することで、日本への輸出経験がないベトナム企業側への集荷依頼からお客様の元へ荷物をお届けするまでトラブルなく、安心・安全に進めることができました。

また運送の体積を計算する方法をしっかりと学習し把握できたことで、日本のお客様に対して正確な運送のアドバイスや見積もりチェックサービスを提供できるようになり、輸送会社の計算ミスも発見できるようになりました(ベトナムローカル企業のサービスを利用する場合の課題は彼らはよく計算間違いをしますので、日本企業側でもチェック機能は不可欠です)。

日本のスタッフが大変だったこと

「輸送会社はどの企業を利用するのか?」という輸送会社の選定と共に大変だったのが、輸送費用の算出です。ベトナムで製造した製品がいくら安くても、輸送費用が高かった場合、利益はマイナスになってしまいます。そのため、より正確な輸送費用を算出する必要がありました。

私たちは輸送会社とは別にお客様専用の輸送見積を作成しました。その見積には、輸送企業から共有された送料、保険料、関税の他に、お客様から共有された製品単価、製品のターゲット価格、ベトナム製造企業から共有された、製品の見積価格と梱包費の情報が入った表を作成し、1製品にかかる送料を含めた単価を算出しました。この表を作成したことで、お客様は製品だけでなく輸送費用を含めた利益を確認することができます。

さらにこのシートは計算式を含んだ表になっているため、製品の単価、梱包費、送料、保険料、関税を入れると1製品にかかる送料を含めた単価を直ぐに確認することができます。

これにより、お客様は送料を含めた製品の利益を確認することができ、ベトナム企業へ製品の注文を決断するきっかけとなりました。

日本のスタッフが工夫したこと

輸送企業とのやり取りを進める上でお客様より、「毎回、ベトナム輸送企業に送料を算出してもらうには時間と手間が掛かるため、輸送費用の目安を知っておきたい」とご相談がありました。輸送費用の表があることでお客様自身、大体の目安の輸送費用が分かり、営業効率が高くなります。

私たちは輸送企業と相談し輸送料金表を作成しました。

まずは輸送形態のLCL、FCLで分け、それぞれに重さ(CBM)と配送地域(東京、横浜、大阪、名古屋、博多など)が分かれば、輸送費用を算出できる表をまとめました。

見積書のような細かな費用の算出はできませんが、輸送料金表ができたことで一瞬で輸送費用の把握ができるようになりました。

これにより、お客様は大体の輸送費用が分かり製品と輸送費用を含めた利益を把握することができ、よりスピーディに注文の意思決定ができる流れを作ることができました。

プロジェクトリーダーの総合評価

日本からベトナムへの配送を行う際の運送会社選びは、サービスの質とコストのバランスを考えることが重要です。信頼性の高い運送会社を選ぶためには、サービスとコストとアフターサービスなど入り口から出口までのトータル的な知識習得と情報収集が必要です。

この調査によって正しい知識と情報を得るためには大変な労力だけではなく、ブラックボックスになっている業界の情報を集めるために多くの工夫が必要でした。

一般的には輸入代行会社を使うケースが多いと思いますが、依頼主にとって日本国内でより競争性のあるコスト削減のために、ウォンズ日本・ベトナムチームスタッフは忍耐強く、創造性を発揮してよく頑張ってくれたと感謝しています。

またウォンズベトナムでは、日本企業へ紹介するベトナム企業のリアルな評判やユーザーレビュー(利用者の声)を必ず情報収集とチェックして信頼と実績の根拠を抑えます。
さらに輸送には配達のスピードと安全性が求められるため、リアルタイムで荷物を追跡できるシステムが整っているかも確認してくれました。ベトナムの輸送会社の多くは、最初の取引を成功させるために見積もり時だけ安い価格を提示して契約を取るケースがあるため、注意しなければなりません。また発送できると予約受付しておきながら土壇場になって船がキャンセルになったと先送りになる連絡が入り、急ぐ場合は追加料金を求められるトラブルは多く発生しています。

こういったベトナムならではの気をつけるべき商慣習は、日本企業での独自調査には限界があるポイントで、私たちウォンズベトナムに所属する優秀なベトナム人スタッフのおかげで対策・提案ができる強みでもあります。

他にも緊急時にも臨機応変に対応してくれるカスタマーサポート体制があるかも選定で重要視したポイントです。日本企業では当たり前にあるカスタマーサポートの問い合わせ窓口は、ベトナムローカルでは体制が不十分な会社の方が多いです。

そういった土台となるポイントを比較した上で、最終的にコストパフォーマンスを検討し、複数の運送会社の料金とサービスを比較することが望ましいです。

ウォンズの日本とベトナムのスタッフ協力体制はこのような経験を踏まえ、お客様にベストな輸送企業をビジネスマッチングさせ、直接契約、輸送のトータルコーディネイトができたことは誇りです。

荷物がコンテナに詰め込まれて港へ運ばれます

ベトナムでは、経済成長や貿易の活性化などを背景に、今後、物流量の増加が見込まれており、荷主のニーズも一段と複雑になるとみられ、物流センター整備を通じた効率的な物流システムの構築や、より広い範囲の専門的なサービスの提供が求められています。それに加えて、梱包方法や船のスケジュール、保険、ベトナムおよび日本での国内輸送に関するタイムリーなアドバイスが必要となり、安全かつコストを抑えた輸送方法の構築を考えなくてはいけません。

今回は専門的な知識を多く必要とする重要なプロジェクトでしたが、ベトナム国内の物流業界で信頼できるパートナーを見つけられたおかげでプロジェクトの成功をおさめられました。
その後も取引は続いておりますが、荷物は安全かつ計画通りに日本へ輸送されています。ご依頼主は大変満足され、引き続きウォンズスタッフに輸送サポートのご依頼を頂き、現在でもお客様の輸送サポートが続いています。このプロジェクトで得た経験は、その後のベトナムと日本の商業促進にも役立ちます。 今後も私たちウォンズスタッフは輸送会社を選んだ時、『安全』と『安心』を大切にするという 基本的を守りつつお客様の様々なご要望にお応えし、コスト削減や輸送の合理化などお客様の物流戦略に貢献してまいります。

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