事例紹介

大工専門人材の調達とベトナムにおける和風建築住宅販売パートナーの調査

ベトナムで大工建築の工事中

プロジェクト概要

栃木県の建設会社K社が、大工人材育成とベトナムでの日本式木造住宅販売の可能性を調査。専門的訓練機関やパートナー企業を選定し、意見交換を通じて国際的な人材交流と事業モデル構築を目指した。

お客様からBizmatchへのご依頼相談内容

栃木県が本社の大手建築会社(以後、K社)から大工人材の調達とベトナムにおける和風建築住宅販売パートナーの調査についてご依頼でした。
K社が日本で展開する事業は、注文住宅の建築・販売を中心として、公共事業や民間事業の建物(幼稚園)、病院、工場、アパート建築など多岐に渡り、熟練の大工が多く所属する木造建築に強みを持つ創業50年・売上100億円を超える日本の伝統的なゼネコン中堅企業です。
K社の悩みのひとつは大工の高齢化が進んでいることで、創業100年に向けた大工の若返りは大きな課題であり、また会社の成長・発展を目指しているために、外国人採用における大工人材の育成と確保についてウォンズベトナム『Bizmatch』にて市場調査と最適な人材調達スキームについてのご相談でした。
またもう一つのK社の課題は、縮小する日本市場の将来を見込んで、ベトナムにおける日本式建築住宅の建築と販売についての市場ニーズ調査と合わせてパートナー候補企業への訪問と意見交換についてのご相談でした。
この2つの課題に取り組むことで、日本で育成した大工人材をベトナムのパートナー企業で活躍してもらえることができることを期待されていました。

プロジェクトの目標

一般的なベトナム人材の採用方法は、ベトナムの送り出し機関と日本の管理組合を通した技能実習生の確保ではあるが、送り出し機関では大工専門の教育体制はないこと、送り出し登録するベトナム人材の多くは、専門技術を身につける目的ではなくお金を稼ぐことが最大の目的であるため、長い年月をかけて育成が必要な大工人材とは、双方ニーズのミスマッチが起こります。
そのため、ベトナムにおける大工育成専門の教育機関の調査選定と、日本とベトナムにおける大工人材の日越交流の新しいスキームを構築することを第一目標としました。
また、日本式住宅建築に取り組みたいベトナム国内の建築パートナー会社の調査を実施し、大工人材の日越交流だけではなく育成したベトナム人大工を日本でもベトナムでも働けるビジネスモデルを構築することを第二目標としました。

プロジェクト進展の流れ

ステップ1: 依頼主のニーズ整理と専門知識の研究と調査

ウォンズベトナムにて、K社の得意とする注文住宅の特徴と強みについて理解を深めました。またK社が求める人材像や将来的に目指したい事業展開について、K社の社長へ聞き取り調査を実施して、正しくニーズを把握する努力をしました。特に日本式木造住宅は、ベトナム建築より高い技術力を必要とされる建築方法であり、基礎工事から床の施工、屋根の取り付けなど細部に至るまで、日本の木造建築方法とベトナムの木造建築方法の違いを調査しました。

ステップ2: 大工技能実習生の送出機関並びに大工人材の育成機関の調査

大工の技能実習生を日本へ紹介しているベトナムの送り出し機関3社へ情報収集のための事前視察を行いました。調査の結果、お金を稼ぐことを目的とする技能実習生の多くは、大工職種への関心は低く、大工職種での日本企業で働く希望人数はどこも少ないことがわかりました。
またニーズが少ないことから、大工の基礎的な技術訓練設備が不十分なため、大工人材を求める日本企業のほとんどが大工技術を持たない素人の技能実習生を1から育てないといけない実態がわかりました。
そのためウォンズベトナムスタッフは、ベトナムの建築業界の専門組織ネットワークや協会にコンタクトを取り、意見交換を実施することで、K社のニーズに最適な人材を育成できる実績とノウハウを持つ企業2社を見つけることができ、K社へ情報提供をしました。

ステップ3: 和風住宅の木造建築・販売に取り組むベトナムパートナー候補企業の調査

ベトナムにおいて和風住宅の木造建築・販売に取り組んでいる、または日本式木造建築技術に精通している企業の調査・選定並びに事前下見の実施を行いました。
ベトナム市場における和風住宅の建築ニーズはまだ少ないですが、ベトナム人富裕層の多くがセカンドハウスや別荘として、日本式の木造建築住宅を所有したいニーズがあり、ベトナム企業における和風ブランド住宅の建築と販売に取り組む企業へアプローチを行いました。
その結果、ベトナム企業の2社からぜひK社との商談を実施したいというオファーを受け、K社へ情報提供をしました。

ステップ4: ベトナム(ハノイ近郊)で現地視察アテンド・意見交換の実施

K社と検討した結果、日本式木造住宅の建設と人材育成に取り組む2社へ訪問し、事前に翻訳準備した両社の紹介を通して、お互いの企業への理解を深め、両国企業で協業できる役割と範囲、事業の可能性について、各社2時間にわたる意見交換ができました。

プロジェクトの成果

ウォンズベトナム『Bizmatch』スタッフの現地視察アテンド・商談サポートサービスによってベトナム企業側によるK社のニーズへの理解を深めることができ、詳しくは紹介できませんがベトナム企業2社それぞれが目から鱗のビジネスモデルと事業計画の提案をいただくことができました。
K社はベトナム以外にも、インド、インドネシアの3カ国からの大工人材確保の体制構築を検討していますが、どの国でも活用できるとても価値がある情報だと大変お喜びのご評価をいただくことができました。

両社の担当者と情報及び意見交換
両社の担当者と情報及び意見交換

ベトナムスタッフが大変だったこと

プロジェクト開始当初、ウォンズベトナムの担当チームは、目標とする企業として、建設業界、特に建設大工業界における労働力輸出とその職業訓練を行っている企業を探すべきだと評価していました。しかし、労働力輸出企業(送り出し機関)に付随する職業訓練センターは、専門的な技術訓練よりも、健康状態を満たす人材を採用することに重点を置いており、技術力の向上にはあまり力を入れていませんでした。
そのため、労働力輸出企業の弱点を見抜いたウォンズベトナムのチームは、アプローチを変更しました。日本式の木造住宅建設に特化した専門企業を探し、その中で日本式住宅建築のための専門訓練施設と設備を完備している企業を調査・選定する方向に切り替えました。
ベトナムには、日本式の木造住宅や日本風の家を建設する企業は多くあり、これらの企業は北部、中部、南部に広がっています。しかし、訓練と職業教育を行っている企業は非常に少ないのが現状でした。

正しい情報をもとに忍耐強く調査を進めた結果、ウォンズベトナムスタッフはK社のニーズに最適な2社を選定し、推薦しました。これらの企業は、木造建設の実務経験だけでなく、大工職業訓練の育成プログラムの提供も行っています。
ベトナムにおいてはプロジェクトに関する情報が非常に限られている中で、K社が目指すビジネスプランにビジネスマッチできる適切な企業を見つけ出し、現地視察の日程調整を行うことは非常に困難な調査でした。
また、視察までの準備期間が非常に短く、迅速な対応が求められました。日本のお客様のベトナム訪問スケジュールが先に決定した相談案件のため困難を極めましたが、無事にご満足いただける最適な企業を見つけ、協力を希望するベトナム企業と調整が整った際には、達成感がありました

ベトナムスタッフが工夫したこと

ベトナムにおける日本式の木造住宅建設の経験・建築法・法律知識を持ち、大工の育成施設・設備・教育プログラムを保有する企業をベトナムで柔軟に探し出せたことが、このプロジェクトの成功において決定的な要素となりました。
ウォンズベトナムスタッフはベトナムの候補2社へ訪問して事前に準備調整を行えたことで、K社の社長によるベトナムパートナー候補企業への訪問で、有意義な意見交換サポートができたと振り返ります。
また訪問当日は、オフィスでの意見交換だけではなく、2社の工場、トレーニングセンター、完成したプロジェクトを訪問することも提案できたことで両国企業がお互いをより深く理解しあえたと考えます。

プロジェクトの視察実施
プロジェクトの視察実施

プロジェクトリーダーの総合評価

特に建設大工の高度な専門的要件を満たすベトナム企業を見つけるという点でウォンズベトナムスタッフは多くの課題に直面しましたが、彼らの創造性、努力、パートナー探し戦略を柔軟に調整する能力のおかげで、プロジェクトは当初K社の社長が想定していたものよりも良好な成果を達成できました。これはウォンズベトナムスタッフによる貿易促進モデルの能力の高さと有効性を証明できたと感じています。

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