事例紹介

ベトナムにおける製造業企業視察支援

G社が選定された工場を視察

プロジェクト概要

日本企業G社がベトナム北部の精密加工企業3社を訪問し、新規サプライヤーの開拓を目指した視察プロジェクト。少量多品種対応や技術力を重視し、視察・商談を円滑に遂行。豪雨や式典による混乱にも柔軟に対応した。

お客様からのご依頼相談内容

日本企業G社は茨城県と東京に拠点を持つ商社であり、ハノイ及び周辺地域で精密加工、プラスチック加工を行っている工場の視察によって新しい分野のサプライヤーを開拓する目的でベトナム企業視察を希望されました。
G社はウォンズチーム(Bizmatchサービス)とコンサルティング契約を締結することで日本国内の大手企業向けにものづくりにおけるBtoBの課題解決力を高めるべく加工部品を中心にしたグローバル調達ネットワークを構築中で、様々なベトナムサプライヤーとのビジネスマッチングを成功させ、日本市場でマテリアルソリューション事業の規模を拡大中です。

プロジェクトの目標

ウォンズチーム(Bizmatchサービス)はG社の要望を応えるため、ベトナム全土で高い生産技術と日本への輸出実績を持つ企業を調査しました。また、G社での注文単位は50個、100個、最大でも300個と小ロットの注文が中心です。そのため、企業調査では可能な限り多品種少ロットの注文も対応できるベトナム現地サプライヤー5社を選定しました。
ウォンズチーム(Bizmatchサービス)は市場調査をする中で生産能力、生産技術、品質認証、輸送・輸出経験と知識を持つベトナムの企業の情報を収集しました。選定条件として基本的な製造・生産のスペックだけでなく、日本語の対応能力や特徴、企業の得意分野・海外取引実績、工場内の内観や機械設備の写真、工場の外観の写真などのデータを取りまとめ、信頼度を細かく一つずつ評価し、慎重に選出しました。

プロジェクト進展の流れ

企業調査結果をG社へご提出した結果、3社のベトナム企業訪問のご依頼を頂きました。

ステップ1: コンタクトや視察日程調整

ウォンズチーム(Bizmatchサービス)は条件を最も満たした3社とアポイントを取り、視察日の合意に至りました。アポイントを取る際には、決裁権を持つ工場長や営業責任者、社長など商談ができる方を必ず同席してもらいます。そうすることで、当日の商談も即断・即決でスムーズに行き、その後の取引に向けた契約締結準備もうまくいく可能性を高められます。

ステップ2: 視察までの段取りとサポート

ウォンズチーム(Bizmatchサービス)はG社のベトナム企業視察にあたり、出発から帰国までのスケジュール調整、3日分の訪問時のドライバー付きレンタカー手配、3社分の要望を取りまとめた議事録レジュメの作成、当日に使用する資料の通訳翻訳を準備・サポートをしました。また、そのほかG社へサンプルの準備の有無やベトナム企業との打ち合わせ時の重役メンバーの確認、ベトナム企業へG社の企業説明など多くの準備や手配をし、当日の商談がうまく運ぶように訪問直前まで調整が続きます。

ステップ3: 視察当日

訪問当日にはG社がベトナムに到着する時間に合わせて空港まで迎えにいくため、日本のお客様は安心してベトナムへ到着することができます。空港で待ち合わせをした後は、そのままベトナム企業へ訪問できるように段取りをしています。そのため、無駄のないスケジュールで視察を進めることができます。
オフィスにいるベトナムスタッフと日本人スタッフは打ち合わせの15分前から訪問企業とオンラインを繋ぎ、参加者全員が映る位置でカメラをセッティングしてもらえるようにベトナム企業へ依頼をしたり、声の聞き取りやすさ、サンプル品の準備状況を確認します。
ベトナム現地でお客様をアテンドするスタッフ、ベトナムのオフィスでオンラインでサポートするスタッフ、日本のオフィスからオンラインでサポートするスタッフの3拠点のサポートにより視察を確実に、スムーズに進められます。

プロジェクトの成果

G社は、ベトナムで3社(I社、S社、N社)を視察し、打ち合わせを行いました。

その中、I社は精密機械加工、板金加工、ローラー及びコンベヤの製造を専門とする企業です。約8,000㎡の敷地面積で、日本・韓国・欧州への輸出実績もあり、G社のビジネスパートナーには工場視察と非常に相応しい相手企業でした。視察後、両社は今後の実際の取引に向け契約締結に関する交渉を進めることで合意しました。
S社はPP・PVC樹脂加工およびPVCの半導体部品の製造を専門とする企業です。 韓国資本100%の企業であり、工場およびオフィスの視察時にはその高い専門レベルとプロフェッショナルな体制を強く感じました。
S社の事業分野は、G社が今後注力を予定している新規事業分野の一つでもあり、両社の強みをさらに理解し合い、将来的な協力に向けてプロジェクトが進んでいます。
N社は自動車・二輪車部品、農業機械および産業機械向け部品を生産している企業です。
また、N社はベトナムにおける大手日本二輪メーカーの協力企業でもあります。
大規模な生産体制を有しているため、同社の強みは大量注文への対応力にあります。
G社にとっては、このような大規模な生産体制と技術を確認できたことで、大量生産のニーズに最適なサプライヤー開拓の機会を得ることができました。

今回のG社の企業視察は将来の貿易連携や契約締結の機会となり重要なスタートとなりました。

G社・ベトナム企業・アテンドするウォンズスタッフがオフィスにいるウォンズスタッフも交えてオンライン会議を行う様子
G社・ベトナム企業・アテンドするウォンズスタッフがオフィスにいるウォンズスタッフも交えてオンライン会議を行う様子

スタッフが大変だったこと

G社のベトナム企業訪問は、9月2日のベトナム建国80周年記念パレードの日程と重なり、予想外な出来事が発生する懸念がありました。ベトナム建国40周と80周年時には大規模なイベントが行われます。以前の大規模イベントは40年前のためベトナムスタッフの予測ができませんでした。企業視察の日程は建国記念日の9月2日ではありませんでしたが、ベトナム政府からの情報が少なく、前日になっていきなり交通規制やイベント情報が発信されるため、ハノイ周辺では情報が混乱している状態でした。
8月末からパレードのリハーサルのため、その日によって封鎖される道路情報がかわります。そのため、ハノイ市内では交通や移動が困難になり、お客様のスケジュールにも影響が出る恐れがありました。

パレードのリハーサルのため通行止めの状況
パレードのリハーサルのため通行止めの状況

さらに、G社のベトナム企業視察は、台風5号がハノイを直撃する日でした。ハノイでは大雨が降り、交通渋滞と洪水が発生し、ベトナム企業訪問の移動計画に深刻な影響が及びました。

台風によりハノイの道路が冠水した状態
台風によりハノイの道路が冠水した状態

ベトナムスタッフが工夫したこと

ウォンズベトナムは、ベトナム企業やホテル、タクシー会社に積極的に道路渋滞状況の確認のための連絡を取り、通行止めルートに関する情報を事前に把握しました。G社が移動しやすいホテルを選定し予約したり、洪水、通行止めルートをさけたり、また、予備の案を立って、早めに運転手と連携して、遠回りルートも準備しました。ハノイの道路はほとんど車が動かなくなる渋滞が発生していましたが、ウォンズでは事前準備をしていたため道路封鎖の影響を受けず、予定通りの計画を実施できました。

視察会社から溶接資格を獲得した人材リストを紹介していただいている様子
視察会社から溶接資格を獲得した人材リストを紹介していただいている様子

日本人スタッフが工夫したこと

ベトナムと日本では情報喚起について周知の速度が異なります。日本では大きな式典やイベントでは数ヶ月前からテレビ、新聞、SNSなどで通知されます。国家的行事となるとさらに前から通知をされる文化です。しかし、ベトナムでは情報の通達は催事の近くになってから急遽通達されることが多く、催事の数日前や当日になっての通達や情報の更新が頻繁にあります。
今回のG社のベトナム企業訪問は、ベトナム建国80周年という大変大きな式典と大型台風が重なり、数日前までどのような影響が出るのかが予測しにくい状況でした。

G社にはご訪問前にベトナム建国80周年という大きな式典があることと台風の影響をお伝えしていましたが、なるべくスケジュールに影響がでないような配慮が必要でした。
ベトナムスタッフと日本スタッフで協力しながらスケジュールを作成していきました。ベトナムスタッフはこれまでの経験により、今回の式典でどれほどの影響が出るのかを予測しました。これはベトナムに住み、現地の状況を把握できるスタッフにしかできない作業となります。
日本人スタッフはG社の今回のベトナム企業訪問の目的達成と共に、長時間のフライトによる身体の疲れや食事の嗜好を配慮して、ベトナムスタッフへ要望を出しました。これは日本人スタッフでないと分からない感覚となります。

今回はベトナムと日本スタッフがお互いの文化や習慣を組み合わせることによって、ほとんどスケジュールに影響がなく進められました。今回の式典と台風の影響は大きく、全く動かない渋滞や道路の水没によって移動が困難になる人が多い中、3社の企業をご案内でき、無事にG社が打ち合わせや交渉に集中する環境を作ることができました。

これはどちらか一方の工夫だけでは叶わない成果でした。

プロジェクトリーダーの総合評価

今回のG社によるベトナム企業視察プロジェクトは、これまでウォンズチーム(Bizmatchサービス)と一緒に基盤を築いてきたベトナム国内のサプライチェーンネットワークを拡充させるために実施されたものです。これまではベトナム南部を中心にしたサプライヤーとのビジネスマッチングでしたが、今回でベトナム北部サプライヤーとのネットワークが広がったことでG社のマテリアルソリューション事業の規模を拡大に寄与できたことは大変喜ばしい成果をあげられたとご評価をいただくことができました。

G社とのこれまでの取引からG社のご期待に答えるためには、少ロット対応可能で高い技術力を持つベトナム企業を選定した点に加えて、単なる企業データの照合ではなく、材料の調達力・生産技術・輸出経験・品質認証・日本語対応力など、実務に直結する観点から候補企業を厳選し、事前にウォンズスタッフにて数十社とオンライン面談を重ね、これまで両社で培ってきた関係があるからこそマッチング成功率が高まっているのだと評価しています。

さらに今回は、視察日程がベトナム建国80周年式典と台風直撃という二重のアクシデントに直面しながらも、ウォンズベトナムと日本スタッフが密に連携し、すべてのスケジュールを予定通り遂行できたことはスタッフを誇りに感じるととともに大きな感謝をしています。現地では道路封鎖や洪水による混乱の中でも、交通ルートの再構築や代替案の準備を迅速に行い、G社の訪問に支障をきたさないように配慮しました。日本側スタッフは、文化や気候、体調面までを考慮し、現地チームと緻密に調整しました。まさに「日越ウォンズスタッフ双方の強みを活かしたチームワーク」の結果です。
結果として、G社は視察先3社との打ち合わせを円滑に進め、将来の取引連携に向けて大きな一歩を踏み出すことができました。ベトナム企業の高い技術力と対応力を実際に確認できたことは、今後の調達戦略の再構築や新たなビジネス展開の重要な礎となります。
このプロジェクトは、単なるマッチングの成功事例ではなく、「異文化理解と現場力の融合」によって成果を生み出した実践例として位置づけられます。Bizmatchサービスが提供するのは単なる紹介ではなく、「信頼できる橋渡し」であり、互いの国の“当たり前”を理解し合うことの大切さを示しています。
今後もこのようなプロジェクトを通じて、ベトナムと日本の製造業が持続的に発展し、相互補完関係を築くことが期待されます。今回のG社の事例は、その未来への可能性を具体的に証明した例となりました。

工場視察を終えた後の打ち合わせの様子
工場視察を終えた後の打ち合わせの様子

ベトナム企業専門ビジネスマッチングサービス
ビズマッチ

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