ベトナム在住20年が語るベトナム観光旅行の魅力

 ベトナム統計総局の報告によると、今年1月から10月までの海外からのベトナムへの訪問客数は1410万人だそうです。ベトナムはあと2ヶ月間で400万人弱の訪越客を見込んでおり、そうなると1800万人を記録した2019年、つまりコロナ前の海外旅行客数を回復しそうです。 
 日本人はとなると、この10月までに58.5万人がベトナムを訪れました。韓国、中国、台湾、米国に次ぐ5位に位置しているそうです。コロナ前の2019年に訪れた日本人観光客は95万人と発表されているから、もしさらにこの2ヶ月で15万人が訪れたとしても73万人で、コロナ前の数字にまで戻りそうにありません。円安も手伝って日本人の海外旅行客数も伸びていないことから、ベトナムへの観光客の回復にはもう少し時間がかかりそうです。
 そこで、今回はひとりでも多くの方にベトナムを訪れていただこうと、ハノイ在住20年のわたしがベトナム旅行の魅力について大いに語りたいと思います。

<ベトナム料理は日本人の口に合う>

 かつてわたしは添乗員として世界中を旅をしました。有名な観光地をかかえる国であっても、料理が日本人の口に合わない場所もあります。お客様からは、日本料理だけ食べて世界中を旅できたらいいわねぇといわれたことさえあるのです。そうした時、添乗員は誠につらい立場です。
 ベトナムはしかし、パクチーやヌックマムが苦手なのでというお客様をのぞいてはおおよ
そのみなさんから「ベトナム料理は日本人の口に合うね」というおほめの言葉をいただきます。
 タイ料理のようにデフォルトで辛い料理がない、ミャンマー料理や中華料理のように油の使用量はそれほど多くない、加えて味がうす味だということもあるのでしょうか、ベトナム料理は食べやすいようです。
 加えて最近では、在日のベトナム人の増加にともない、ベトナム料理店も都市部を中心に増えているため、フォーやバインミーなどのベトナム料理を口にする機会が多くなってきました。そうした背景もあるのでしょう。
 最近のベトナムの傾向としては、ベトナムの家庭料理を洗練された内装のレストランで食べさせる店や、少数民族の料理を都会人向けにおしゃれにアレンジした料理店が人気を博しています。
 ベトナム料理に飽きたら、ハノイやホーチミン市であればカジュアルなイタリアンやウクライナ料理など、日本でも味わうことのできない各国料理店も存在するので、試してみてもはいかがでしょう。流行っている店はどこもそれなりの味を提供してくれています。
 
<夕暮れの街歩きが楽しい>

 日本の地方都市は観光地でもない限り、駅前商店街はどこもシャッターが閉まり、死んだようになっていますが、ベトナムの街では個人商店がどこも元気です。大規模小売店やコンビニとならんで、独特の個性を放つ店が立ち並んでいます。
 そんな路地や市街を歩くのも旅の楽しみのひとつだ。活気ある街の雰囲気を味わうだけでも楽しいでしょう。
 ハノイであれば、旧市街、かつての城下町、ダウンタウン。お土産屋が立ち並ぶ通りがあるかと思えば、服飾品専門、生薬専門、竹製品や冠婚葬祭用のお祝いに使う用品の立ち並ぶ通りもあります。買い物をしてもよいし、カフェやレストランにふらっと立ち寄るのもよいでしょう。思わぬ発見があります。
 ホーチミン市であれば、夜のグエン・フエ通り沿い。通りの真ん中は遊歩道になっていて、夕涼みに訪れる人たちで賑わいます。大道芸人やおもちゃを売るひとたちもいて、さながら縁日のようです。ホーチミン市人民委員会の建物を背に歩くと、通りの先にはサイゴン川があります。川のほとりにはカフェがたくさんあります。ホテルのルーフトップバーで川の風に吹かれながらドリンクを傾けるのも一興です。
 ホイアンやフエなどの観光地でも夜そぞろ歩くのは楽しいもの。ベトナムの夏は暑いので、夕暮れどきから夜がそぞろ歩きには適しています。日中暑ければ昼寝をして夕方から街に繰り出す、それがベトナムの旅の楽しさのひとつです。

<ホテルも食事もリーズナブルなお値段で>

 2019年のドル円レートは1米ドルが110円をきっていました。ひるがえって現在のレートは150円台。ということは、外国の商品は5年前の3〜4割増しになっているのです。
 最近ハワイ旅行にいった人からきいた話では、朝食ですら一人7〜8000円はするといわれてびっくりしました。
 ベトナムもドル建てにすればコロナ前の2019年からすると、すべての商品が円安で3、4割増しになる計算だが、ベトナムの商品価格は日本や米国に比べてはるかに安いので、この円安でも財布にやさしいものがあります。
 たとえばビール。レストランによってもことなりますが、ビール小瓶で2.5万ドンから5万ドン、つまり日本円にして150円から300円程度です。ちょっと気取ったレストランでも料理の価格も一皿10万ドンか20万ドン程度だから600円から1200円、つまり日本のファミリーレストラン程度の出費でおいしい料理が食べることができます。
 ホテルもわたしの経験的には日本円にして1泊朝食付き6、7000円程度支出すれば、4星程度の清潔なホテルに泊まれます。ただし、ブランドホテルは強気の価格帯なので、避けた方がいいでしょう。
 旅行客に人気のお土産、エステ、洋服のオーダーメイドなども日本円でもリーズナブルな価格帯ですから、ベトナム旅行のお値打ち感は円安であってもかわりません。
 
<マンガ・アニメ、日本ブランド人気、悪くない対日感情>

 ベトナムでは毎週末どこかで、アニメ・マンガのコスプレイベントが開かれるほどの日本のアニメ・マンガブーム。ベトナムのティーンエージャーたちは揃って、日本のアニメ、マンガが大好きです。彼らはドラえもん、名探偵コナン、ONE PIECE、NARUTO、最近では鬼滅の刃、進撃の巨人などで日本の文化に触れているため、日本文化に対するリスペクトや興味があります。
 年配の世代では、トヨタ、ホンダ、ソニーといった日本のブランド製品に対する信頼を今も寄せています。日本政府がODAでベトナムのインフラ整備に一役かっていることも、日本に対してよい印象を持っています。
 もちろん、かつて日本が仏印進駐という形でベトナムに軍隊を駐留させ、日本の支配の下でおきた飢餓で多くの人々が亡くなったことも記憶していますし、歴史教科書にも記されています。ですが、それを強調することなく、過去は水に流し、未来を見つめようという態度で、ベトナムは日本に接してくれています。
 その意味で、日本人は安心してベトナムを旅することができます。
 なお、ベトナムは日本国籍のパスポートの保有者に対して、査証なしで45日間のベトナム滞在を許しています。日本のパスポートさえあれば、1ヶ月半のベトナム観光、出張が可能です。
 
<治安は比較的良好>

 海外旅行で心配になるのが、旅行先の治安です。ベトナムは東南アジアの国としても比較的治安が良好な国と言われてきました。わたしも20年ベトナムに暮らしていても幸い強盗事件などに出くわしたことはありません。身の回りでも殺人、誘拐事件なども経験したことはありません。ただし、経済発展と貧富の格差拡大により年々治安が悪化しているのも事実です。
 ベトナムの都市部では、バイクによるスマホやカバンのひったくり、抱きつきスリ、店舗やホテル前やロビーでの置き引きは頻繁におきています。特に外国人の多い場所では、不注意な外国人をねらう犯罪者が多数存在することに注意してください。
 またいかさま賭博に誘われて大負けしてお金をまきあげられる事件もおきています。カジノ以外の場所でのいかなる賭博もベトナムにおいては違法とされていますので、誘われてもついていかないようにしてください。
 どこの国にいこうとも海外旅行で通常注意するであろう事項を守っていれば、ベトナムではトラブルに巻き込まれることは他の諸外国よりは少ないはずです。
 イスラム原理主義などによるテロ行為などもベトナムでは報告されていませんので、その点でも安心して旅行のできる国のひとつでしょう。

 ベトナム旅行の魅力についてまとめてみました。ぜひベトナムにお越しくださいませ。

文=新妻東一

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