「Smile for All 」関わる人全ての人を笑顔に〜2度目の挑戦/rosso PHOTOHOUSE・Production rosso 増田慎平
- 2025/09/11
“Smile for All”のオリジナルTシャツと爽やかな笑顔で現れたのは、若きフォト・ビデオグラファーであり経営者のrossoの増田慎平さん。今やハノイ駐在家族のライフイベントや日系企業のイメージアップには欠かせない存在ですが、これまでの道のりは決して順風満帆なものではなく、生き残りをかけた道が、写真と動画だったと言っても過言ではありません。現在も模索中という増田さんにこれまでの人生と今後について、お話を伺いました。
1.起業を夢見て
土佐谷:まずは、御社の事業内容について教えて下さい。
増田:会社名はPen’s Creation Labo Co.,Ltd.、rosso PHOTOHOUSEとProduction rossoのブランド名でやっています。事業は3つあり、B to Cの写真館、B to Bの料理・内装・イベントなどの写真撮影とSNS向けのショート動画や工場紹介、会社紹介、マニュアル動画などの映像を制作しています。
土佐谷:rosso(ロッソ)の名前の由来は何ですか?
増田:写真家の福原路草(ろそう)から名付けました。資生堂御曹司の彼は生涯のらりくらりの生活をしていて、自分の人生がまるで「道草(路草)を食っているようだ」だと、写真家としての名前を「路草(音読みでRosou)」にしたそうです。そんな彼の人生に憧れ、「路草を全力で楽しんでいこうぜ!」と、この名前にしました。
土佐谷:カメラ撮影や動画制作は、元々学生時代から趣味でやっていたのですか?
増田:写真は6年前くらい前に始めました。僕はDJをやっているんですが、コロナ前のイベントで写真が必要になり、バーのオーナーからカメラを借りて撮り始めて、そこからハマって趣味になりました。
土佐谷:趣味から会社を設立に至るきっかけは?
増田:実は写真を始める前の2019年にすでに起業していて。初めは未経験でしたが、デザインやウェブ制作をやっていました。会社と言っても、実態は従業員は自分だけのフリーランスです。
土佐谷:起業はいつから興味があったのですか?
増田:小学生の頃から松下幸之助さんや堀江貴文さんの本を読んでいて、いつか自分も社長になる、と思っていました。縁あって、お世話になっている方から案件を頂きました。まずはそこを手始めに、稼いだお金で将来自分のやりたい事業をやれればいいと思いました。
土佐谷:海外に興味を持ったのは、学生時代のインターンシップとのことですが、卒業後すぐに海外には行こうと思いませんでしたか?
増田:当時、全く英語が話せなかったので、すぐに海外に行く選択肢はありませんでした。海外のインターンシップに参加したのも、就活が終わってからです。すでに別の会社で内定をもらっていて、学生の間にちょっと経験を積もうと思って参加しました。そこで過ごした時間が楽しく、海外で働くのもいいなと思って。でもまず日本の企業で、日本のやり方を学びたいという思いもあったので、日本で就職して良かったと思います。

フィリピンでのインターン時代

新卒で入社した会社のメンバーと
2.日本から海外へ〜失敗と挫折
土佐谷:海外の会社に転職しようと思ったきっかけは何ですか?
増田:出会いですね。同期にフィリピンの会社で働いている方を紹介してもらいました。日本でもフィリピンでもやることは同じだ、と思って。行くなら早い方がいいとも思いました。
土佐谷:フィリピンでは日本との違いを感じましたか?
増田:働く上での価値観が違うので日本ではなかったストレスに最初は苦しみました。ただ、マニラには人材紹介会社が3社ほどしかありませんでした。競合が圧倒的に少なかったのと、営業できる人が少なく、やればやるだけ成果が出ました。次第に英語でのコミュニケーションも問題なくできるようになりました。
土佐谷:その後、新規拠点の立ち上げのため、初めてベトナムに来ます。ベトナム行きが決まった時の気持ちはいかがでしたか?
増田:ベトナムは共産主義のため、自由じゃなさそうというイメージで、来る前は本当に嫌でした(笑)。でも実際来てみたら、意外と自由で、成長率、食事など言葉以外は、ベトナムの方が住みやすいです。
土佐谷:ハノイ拠点の立ち上げはどうでしたか?
増田:大失敗しました!(笑) 。目標達成できた月は年間で半分程度でした。報酬単価(売上)の高い日本人の決定数が少ないのが痛手でした。また初めてのマネジメント経験で、ローカルメンバーへのマネジメントが全くできませんでした。その後、キャリアアドバイザーとして、ホーチミンに移りました。

ベトナムに来たばかりの頃

ハノイ拠点立ち上げメンバーと
3.クオリティと効率の間で
土佐谷:今、動画を撮る人が多くなり、機材自体も安価で高性能なものが増えていて、プロと素人の区別がつきにくい時代です。その中で、プロがこだわる部分はどういうところでしょうか?
増田:企画、音、画質、画角、色味、全部が素人とプロでは違います。また僕らが目指しているプロフェッショナル像は「成果を上げるためのクリエイティブを創れるチーム」です。今の時代、動画を1本作ったからといって急に売上が変わるものではありません。継続的に制作・運用・改善をして初めて成果が出ます。
土佐谷:映像のスキルは、独学でどのように身につけたのですか?
増田:最初はYouTubeや本を参考に、ひたすら撮影と編集をしていました。ある程度できるようになってからは、友達のレストランに声をかけて無料で案件を受けて、を繰り返していました。
土佐谷:クオリティを上げるのは、難しくありませんか?
増田:クオリティを上げるためには、練習あるのみです。ただ、クリエイティブと効率を両立するのがとても難しい。時間や手間を採算度外視でかければクオリティは上がりますが、時間をかけ過ぎると単価が下がり、売上が足りなくなる。クリエイターとしては時間や手間をかけて良いものを作りたい、経営者としては単価を見て調整しなければいけないことに、今も葛藤しています。
土佐谷:動画制作の役割分担はどうしているのですか?
増田:今は僕がメインで企画・構成やスケジュールを作り、基本的に、撮影や編集はクルーが担当するスタイルでやっています。
土佐谷:増田さん自身、プロデューサーと現場、経営者のバランスはどのように取っていますか?
増田:バランスは…取れていないですね。とにかくやり切るまで働くしかない!というスタイルでやってきました(笑)。最近はクルー(チーム)の育成や仕組み作りに力を入れており、少しずつ仕事を任せられるようになり、経営に時間をさけるようになってきました。従業員を雇い始めて2年。お客様やクルーを笑顔にしてこそ、一人前の経営者!そこに向かって精進中です。
土佐谷:日本人とベトナム人では好む動画が違います。最終的に作業をするのは、ベトナム人クルー。最初の構想と違っていることはありませんか?
増田:もちろん多々あります。ですから、自分がディレクションや確認に入る必要がありますし、何度も制作の背景や目的、意図を伝えます。多くの動画制作者は「何をどう作るか?」の視点のみで制作していますが、「なぜ?」「どこで?」の視点も大切です。「なぜ?」は、お客様が動画を制作したい背景、例えば、新規の顧客数を上げたい、顧客単価を上げたい、など。背景を知っているとどのような動画を制作すると効果的か判断できます。「どこで?」は動画を使用する場所です。SNS用、広告用、商談用かで構成は、大きく異なります。また、お客様のことをきちんと理解すること、効果が出ているクリエイティブを参考にすることを、日々クルーに伝えています。

4.「動画×お店」の魅力で、集客力や売上を上げる
土佐谷:動画制作で大切にしていることは何ですか?
増田:案件の多いSNSで、成果を出せるクリエイティブを数多く制作できる体制を作ることです。rossoに頼んだら売上が上がった!と言ってもらえる様に、1本1本丁寧に制作しています。
土佐谷:ベトナムでバズらせるコツはありますか?
増田:単にバズらせるだけだったら、世界中でバズっている動画を真似してアレンジするのが1番の近道だと思います。ただし、お客様にとってバズより大事なのは、予約数、来店数、売上を上げることです。ダンス動画がバズっているから従業員にダンスさせても、ブランドイメージが損なわれてしまうリスクがあります。お客様の要望を叶えつつ、動画を見てくれたユーザーが実際に予約して、来店するといった成果を伴う動画をコンスタントに作りたいですね。
土佐谷:それはそれで難しそう。
増田:すごく難しいです。SNSユーザーは空き時間に楽しむために投稿を見ています。ですから、広告らしき投稿は、一瞬でスワイプされます(笑)。そんな中でもスワイプされずに見続けられる投稿を制作すること、且つ予約や売上に結びつけること。これを成し遂げるのは、本当に難しい挑戦です。
土佐谷:自分たちが経営しているお店だったらまだしも、依頼を受けて作るのは難しいですよね。
増田:ベトナムのマーケティング会社と一緒に仕事をやったことがありますが、お客様のことを全く理解していなくて。お客様の要望をきちんと理解できていないと、アウトプットの動画やマーケティング施策がズレてしまいます。
土佐谷:お客様は、クオリティの高いものを求めて外部業者に依頼しますが、外部業者からしたら、その会社、お店の人ではないので100%理解することは不可能です。理解しようと努力をしながら、お互いが求めるものの接点を見つけていく作業が、難しいと感じる部分かもしれませんね。
増田:お客様はその業界のプロ、こちらは動画制作のプロです。お互いが持っている知識やノウハウを共有し、共創していかないと、成果に結びつく動画は制作できません。
土佐谷:制作側やお客様が、これいいね、と思っても、実際に来店されるお客様にとっていいものかどうかは別物。何が正解か、やってみないとわからないことも多いのでは?
増田:動画を見る方の受け取り方、動画を依頼するお客様の魅力、制作者側のクリエイティブ、全てが上手く掛け合わさって、初めて成果に結びつきます。

5.「Smail for All」を実現するために
土佐谷:増田さんにとって、クルーとは?
増田:「早く行きたければ一人で行け。遠くへ行きたければみんなで行け。」というアフリカの諺があるように、会社の理念や大きな目標を成し遂げるために必要な仲間です。クルーの成長は自分のこと以上に嬉しく、日々の仕事の面でも彼らに救われています。責任やプレッシャーはありますが、その分、楽しくやり甲斐を感じます。
土佐谷:今、rossoのミッション「Smile for All(関わる全ての方を笑顔に)」を実現するために、取り組んでいることは何ですか?
増田:写真館ではお越しいただくお客様を必ず笑顔にするために、撮影中のコミュニケーションや撮影テクニックなどのスキルアップに日々取り組んでいます。また、より多くのお客様を笑顔にするために、ベトナムの方向けのブランドも立ち上げています。ベトナムで事業をするからには、いかにベトナムのお客様を増やせるが成功の鍵だと思っています。動画事業では、お客様の期待を超える成果を出す動画を制作するために、トレンドの調査や新しいスタイルの動画制作に挑戦しています。
土佐谷:増田さんにとって、仕事のやりがいとは?そして、今後の目標を教えて下さい。
増田:写真館はお客様の笑顔を直接見ることができるので、常にやりがいを感じます。写真はお客様にとって宝物。お金では買えない価値を提供できる仕事だと誇りに思っています。動画では、お客様から「売上が伸びた!」と言われた時が嬉しいですね。自分たちを信じ任せてくれ、成果を出せた時は、やりがいを感じます。「クリエイティブとテクノロジーの力で笑顔が弾ける場を創る」というビジョンと「Smile for All」というミッションを達成すること、そして、そのプロセス(路草)を全力楽しむことが今後の目標ですね!
文=土佐谷由美


<プロフィール>
増田 慎平(Masuda Shinpei)
1992年/静岡県下田市出身
Pen’s Creation Labo Co.,Ltd./Production rosso/rosso PHOTOHOUSE
Founder / Photo &Videographer
大学卒業後、東京の人材会社に就職。2年後、海外で働くため、フィリピンの人材会社に転職。2017年、ハノイ拠点の立ち上げを機に初ベトナム。2019年、友人の案件を元にデザイン、ウェブ制作事業を未経験で起業。その後コロナ禍に見舞われ、廃業寸前になりIT会社に再就職。コロナ後、再度自社事業に専念し、2023年には写真館、プロダクション、SNSマーケティングの事業を開始。趣味は、DJと写真。
●Pen’s Creation Labo Co.,Ltd./Production rosso/rosso PHOTOHOUSEが目指すもの。
-Vision:クリエイティブとテクノロジーの力で笑顔が弾ける場を創る
-Mission:Smile for All(関わる全ての方を笑顔に)
●ウェブサイト:
https://www.rossophotohouse.com/
●SNS:
https://www.facebook.com/rossophotohouse
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