医薬品業界で外資参入が活発化、さらなる発展に期待
- 2021/03/16
ベトナムの医薬品業界では、外国企業によるM&Aや投資、ベトナム現地法人設立が盛り上がりを見せている。
医薬品業界への投資に注目が集まる
昨年、英国系ファンド運営会社であるビナキャピタル社は、トゥークック国際総合病院(ハノイ市)へ2,670万米ドルを出資し提携関係を結んだ。また、日本のあすか製薬株式会社は、ベトナムで売上げ第2位を誇るハタファー社の株式を24.9%取得し、海外進出にむけた東南アジアの拠点を構えた。大正製薬株式会社はハウザン製薬株式会社の株式56.68%を買い付け、子会社化している。外国企業によるベトナム医薬品業界への投資は拡大し、勢いは止まらない。
医療テクノロジーのスタートアップ企業(Medtech)への投資も新たなトレンドとなっており、イードクター社は昨年、株式会社サイバーエージェント・キャピタル(50万米ドル)を含む、4つのファンドから計120万米ドルが出資を受けた。
そしてM&A、Medtechの他にも、多国籍企業によるベトナムでの生産・輸出拠点設立も拡大している。英国のアストラゼネカグループはアストラゼネカ・ベトナムを設立し、2020年から2024年にかけて約2億2,000万米ドルを投資するとを発表した。
ベトナムの医薬品市場が人気を集める理由
ベトナムの医薬品市場が海外投資家から人気を集めている理由の1つとして、東南アジア2位となった人口1億人の市場が挙げられる。ベトナムの医薬品業界の成長率は東南アジアトップを誇り、人々の収入向上につれ、ヘルスケアに対するニーズは高まっている。
市場調査を行うIBMリサーチ社は、ベトナムの医薬品市場は2021年に77億米ドル、2026年までに161億米ドルにまで成長すると予測した。また、SSI証券分析・投資コンサルタント部のファム・フエン・チャン部長は「M&Aを進める外国企業は、すでにある資源を活用することで、ベトナム市場参入にかかるコストや時間の削減しようとしています。政府はベトナム企業の比率を縮小し民営化の方針を立てており、数年間のうちに、企業の買収がいくつか行われると予想しています」と解説する。
ビナキャピタル社のアンディ・ホー社長兼投資部長は、ベトナムのヘルスケア産業の市場はおよそ120億ドルと非常に大規模で、消費支出は毎年平均10%増えていくと評価し、病気の早期発見が可能となり、ポテンシャルが高く魅力的な市場だと見解を述べた。
EVFTAにより進むEU企業の参入
ベトナムがEUと締結したEUFTAによってEUの医薬品企業はベトナム市場での生産・供給が可能となった。EU企業の進出によりベトナム企業は生産工場への投資や製品開発など、競争力強化を迫られるようになった。
ベトナムの市場は1億人の人口規模、拡大する需要、有利な投資環境、安定した社会情勢といった利点を持ち、新型コロナの封じ込めにも成功している。医薬品市場への投資を誘致するための環境を新たに作るチャンスが到来しており、今後様々なM&Aや、EVFTAによる政府系医薬品企業の売却が進むことで、医薬品市場が発展し、これらの長所は近く確固たるものとなるだろう。
ベトナムの医薬品業界では近年、都市部で外国資本の参入が始まったもののまだ伸びしろは多い。さらに地方には外国資本が参入していない省もあり、ブルーオーシャンともいえる。人々の収入向上や外国企業の認知度向上により、同分野はますます発展していくだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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