成長するカントー市の貿易

カントー市にはカントー国際空港の他、２万 DWT（載貨重量トン）の貨物船が着岸可能な港が3港あり、貿易に必要な輸送インフラが揃っています。

ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市までを結ぶ高速道路（ミートゥアン・カントー高速道路ミートゥアン2橋）が2023年12月に完成しました。この高速道路は、ホーチミン市を経由した貿易だけでなく、カントー市自身が成長の原動力となり、地域の経済中心地、国境ゲート、港湾とのつながりを強化し、魅力を高めていくことが期待されます。

2020年から2023年にかけて、カントー市は貿易を強化する方針が打ち出され、その結果、下記の表の通り2023年の輸出額は2020年比132％の約15,8億米ドル、輸入額は2020年比140％の約4,9億米ドルに達しました。また、2023年の貿易黒字は約10,88億米ドルで、2020年比128％と大きく伸びています。

2022年、カントー市の商品・サービス輸出額は22億8,570万ドルで、計画比13％増、前年比26.5％増を達成しました。これは、カントー市の経済にとって非常に明るいニュースです。

2023 年の最初の 2 か月間、水産物の輸出は好調で、輸出量は28,680トン、輸出額は9,381万ドルで、前年比11.88％増となりました。米の輸出量も141,360トン、輸出額は約6,673万ドルで、前年比2.02％増となりました。鉄鋼および鉄鋼製品の輸出額は、616万ドルで、前年比15.16％増となりました。

これらの輸出の増加は、カントー市の経済成長に大きく貢献しています。今後もカントー市は、輸出拡大に向けた政策を推進していくことが期待されます。

積極的に展開されるカントー市・日本間の貿易

貿易協力に関して、2022年には、カントーから日本への商品の輸出額は2 億 718 万ドルであり、輸入額は2,648万ドルでした。2023年の最初の9か月間における日本への輸出額は1 億 3,414 万ドルであり、輸入額は1,897万ドルでした。主な輸出品目は、水産物、衣料品、農産物および農産加工品、鉄鋼製品、医薬品、化学品、羽毛などです。主な輸入品は、医薬品原料、生地、機械、設備などです。

10社を超える日系企業がカントー市に進出しており、2018年には日系企業向けの工業団地である日越友好工業団地も設立されました。今後、カントー市と日本の取引が拡大していくことが期待されます。

各国との経済連携協定による商機拡大

近年、ベトナムは各国との経済連携を強めており、2019年1月に「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定（CPTPP）」が発効され、貿易の自由化に向け日本を含む加盟国との関税が引き下げられました。

2020年8月には「EU・ベトナム自由貿易協定（EUVTA）」が発効され、ベトナムは10年かけて98％の関税を、EUは7年で99％の関税を撤廃することが決まりました（品目ベース）。また、東アジア地域包括的経済連携（RCEP）は、2020年11月に署名され、2022年1月から正式に発効しました。この協定は、世界最大規模の自由貿易圏であり、ASEANが以前のパートナー国と署名した自由貿易協定を多国間化し、約束と規制を調和させ、経済的利益を最大化することに貢献します。特に、原産地規則と貿易の円滑化を通じて、地域のサプライチェーンと経済を強化し、コロナウイルス後の経済回復を支援します。