ベトナムのフィジカルなショー、音楽を聴ける場所のご紹介(ハノイ編)
- 2025/03/26
- ベトナム観光旅行記

旅行の楽しみのひとつに、その国、街を訪れて、音楽やショーなどを鑑賞、体験するというものがあります。私もウィーンに出張の途中で訪れたときには、オペレッタ「こうもり」をフォルクスオーパーという歌劇場で堪能いたしましたし、キューバを訪れた際には世界でも有数な屋外のキャバレーショー「トロピカーナ」で、羽飾りのついた女性たちがサルサのリズムで踊りまくる姿に感動したものです。
では、ベトナムではどのようなショーや音楽が楽しめるのでしょうか?
<クインテセンス・オブ・トンキン>

「クインテセンス」とは日本語で精髄、本質という意味。トンキンとは北部ベトナムの古い呼び名。つまり、ベトナム北部の伝統的な芸能・文化、音楽や踊りを3Dマッピングやレーザー照明、伝統楽器と現代的な音楽とを組み合わせたフィジカルなショーをご覧いただけるものです。
ショーは55分、4300平方メートルの水面をステージで150名を超えるパフォーマーによるショーが圧巻な、ハノイの新しい人気のエンターテインメント。外国人客のみならずベトナム人の観客にも喜ばれています。
演目は6つ。ポエトリー、仏教、ノスタルジア、音楽と絵画、平和とハーモニー、喜びと祭りと題され、農民たちの生活や祈り、歴史をテーマにした踊りやカーチューやクアンホといった北部ベトナムの伝統音楽が披露されます。
スペクタクルな演出がほどこされ、観客を飽きさせることはありません。
公演は毎週水、金、土の19:30からはじまります。ただし屋外での上演ですので、天候により公演が中止となることもあります。チケットはネット上で購入するか、旅行会社に依頼して入手ください。
会場はハノイの中心部から30km弱も離れています。チケットの購入と同時に往復バスの予約をおすすめします。
公式サイト(英語):https://thequintessenceoftonkin.com/
<ビンミン・ジャズ・クラブ>

ハノイでグラスを傾けながら、ジャズを楽しむのはいかがでしょう?ハノイのオペラハウスの裏側にあるビンミン・ジャズ・クラブでは、夜の9時からジャズのライブ演奏が行われています。
このビンミン・ジャズ・クラブのオーナーは、クエン・バン・ミンさん。ベトナムのジャズ・サクソフォーン奏者としては第一人者。北爆下にアメリカのラジオ放送をこっそり聴いてジャズを覚え、ジャズ・サックスの演奏者のみならず、ハノイ音楽院でジャズ音楽の理論について教鞭をとっています。
息子さんは米国のバークレー音楽院に進学、優秀な成績をおさめて卒業し、ベトナムに戻ってミュージシャンとして活躍されています。親子でジャズのCDも発売しています。
このジャズ・クラブでは毎日9時から11時15分まで、ジャズの生演奏を聴くことができます。チャージは5万ドン(300円)から10万ドン(600円)。ほかにドリンクを頼めば、ハノイのジャズ演奏家たちの本格的な生演奏をじっくり楽しむことができます。
ハノイの夜更けをジャズ音楽で楽しむのもまた一興です。
公式サイト(英語):https://minhjazzvietnam.com/
<ホーグム・オペラ>

2025年、1911年に建設されたオペラハウスは改修のため閉鎖となります。その代わり、2023年にオープンしたホーグム・オペラハウスで、クラシック音楽のコンサートやベトナムのポップスの演奏、演劇などを楽しむことができます。
元公安省関係の建物があった場所に、公安省とハノイ市人民委員会が共同で建設した、最新鋭の音響設備を誇る多目的ホールです。
正面に並ぶ12本の柱が特徴的な白亜の建物の外観はハノイのフランス風建築の中に溶け込むようにデザインされています。
ホールの壁は音響的にも計算されつくされた美しいもの。ここで交響楽団のクラシック音楽の演奏や、演劇、ベトナムの歌謡曲などの演目がほぼ毎日のように演じられています。
上演演目については同オペラハウスのウェブサイトで確認し、チケットはオンラインのチケット販売で購入することができます。
残念ながら当面、伝統あるオペラハウスでの演奏会はおあずけとなりますが、かわりに最新鋭のオペラハウスで演奏や演劇を楽しんでみてはいかがでしょうか。
公式サイト(英語・ベトナム語):https://hoguomopera.com/
<Trixie Cafe & Lounge>

市の中心部から車で30分、Lang Ha通り165番地にTrixie Cafe & Loungeがあります。日中はカフェ&レストランですが、週末の夜はベトナム・ポップス/歌謡曲のミニショーが行われています。
時にはダン・ビン・フンやミー・タムなどの大御所のご出演もあるようですが、普段は中堅の歌手で、赤丸急上昇の歌手たちが出演しているようです。
ここでは、食事や飲み物をとりながら、ベトナム人歌手のショーをご覧いただけます。最近ではベトナムの音楽もTikTokなどを通じて世界中に紹介されるようになっています。思わぬヒット曲がベトナム発の音楽だった!なんてことも今後大いにありうるでしょう。
ベトナムの歌謡曲、なかでも「ボレロ」というジャンルは、日本の演歌や60、70年代の歌謡曲に似た雰囲気があり、若者にはレトロとして、また、お年を召した方には懐メロとして聴くことができます。
演目については同カフェのウェブサイトから直前の予定をご確認の上、お出かけください。お飲み物もビール、ウイスキーなどのアルコール類から、ノンアルコールのカクテルやジュースの用意もあります。また、おつまみも豊富に取り揃えられています。
ショーはおおよそ午後9時からはじまりますので、食事を終えてでかけられることをおすすめします。
公式サイト(ベトナム語):https://trixie.com.vn/
<水上人形劇>

ハノイの観光客向けのショーとして古くから知られている水上人形劇。ハノイのツアーに組み込まれていることもあり、ご覧になったことのある方もおられるのではないでしょうか。定番ではあるものの、あらためてここでご紹介いたします。
水上人形劇はベトナムの伝統芸能で、11世紀から13世紀に栄えた李朝時代に成立したものと推測されています。元々は刈り取りの終わった田んぼに水をはり、そこで演じられたそうです。
長い柄のついた人形を泥水の下に潜らせ、人形だけを水面にのぞかせ、柄の一方の端は傀儡子が御簾の向こうで操作することで、人形だけが動いているようにみせる独特な演出法で、世界的にみてもユニークな人形劇です。
演目は龍、獅子、鳳凰の舞、田植えの様子、天女の踊り、科挙合格者が故郷に錦を飾る行列など、50分にわたり、演じられます。音楽はベトナムの伝統楽器を用いた生演奏。花火やスモークなども舞台演出に用いられて、観客の目をひきます。
ホアンキエム湖のほとりにある常設のタンロン劇場では、旧正月の時期を除いて無休で上演されており、毎日午後3時から5、6回上演されています。
チケットは事前に購入しておく必要があります。日に5、6回の上演がありますので、早めに劇場に訪れて、窓口でチケットを購入し、上演の時間まで旧市街でお買い物をしたり、カフェでくつろぐのもよいでしょう。
公式サイト(ベトナム語・英語):https://thanglongwaterpuppet.com/
文=新妻東一