日越関係の更なる強化
- 2020/12/31
ベトナムと日本は「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ(2014年3月、当時のチュオン・タン・サン国家主席訪日時に制定された概念)」の下、政治、経済、安全保障、文化・人的交流など、幅広い分野で緊密に連携している。
菅首相のベトナム訪問
懸かる状況下、2020年9月6日に就任した菅義偉新首相は、就任後最初の外遊先としてベトナムを10月18日~19日の間訪問した事は、両国間の良好関係を更に深化させる結果をもたらした。
短い滞在期間の中、菅首相はチョンベトナム共産党書記長兼国家主席との会談、フック首相との首脳会談、更にはガン国会議長等ベトナム首脳陣との会談を精力的にこなされた。
首脳会談では、「自由で開かれたインド太平洋地域の平和と発展に両国が協力して貢献していく事」が共有され、その首脳会談後、両国の官民代表が具体的事案として「デジタル・環境・エネルギー・インフラなど」の協力文書に両国首脳立会の下、調印された。
また、菅首相は日越友好の象徴の一つである日越大学を訪問し、大学関係者及び学生らと意見交換を行った。
今回、首相夫人が同行されたが、フック首相夫人他、夫人の皆様との交流を深められた。
数字で見る日本からのベトナムへの支援及び関係
(出典:在越日本大使館ホームページ)
1)我が国の対越ODA供与規模・実績
1992年11月以降、経済協力を再開した日本はベトナムにとって最大の援助国。
単位:(億円) | ||||
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | |
円借款 | 1,124 | 1,788 | 1,321 | 1,003 |
無償資金 | 15 | 39 | 26 | 30 |
技術協力 | 77 | 101 | 90 | 67 |
※日本以外の主要援助国:ドイツ、韓国、フランス、米国
2)ベトナム対日貿易(2018年,越税関総局)
貿易額:378.7億ドル(対前年比 13%増)
輸出:188.3億ドル(対前年比 12%増)
輸入:190.4億ドル(対前年比 15%増)
バランス:▲1.7億ドル(略 輸入、輸出が均衡している)
主な輸出品目:縫製品、輸送機器・同部品、機械設備・同部品、木材・木工品、水産物
主な輸入品目:設備・同部品、PC電子機器・同部品、鉄、縫製品原料、プラスチック原料
3)日本からの投資状況;2018年の日本の対ベトナム投資額
直接投資(新規及び追加):認可ベース及び証券投資は86.0億ドルで国・地域別では第1位となった。また、累積投資認可額は韓国に次いで第2位。
日本企業数:1,905社(2018年日本商工会会員数)
4)人的交流
在ベトナム在留邦人数(在留届出ベース):17,666人
在日ベトナム人数(法務省):330,835人
Can Tho Cityと日本との関係
上述の通り、ベトナムと日本は広範な戦略的パートナーシップの下、極めて良好な関係となっているが、これもCan Tho Cityを含む地方都市それぞれが、日本との間で良い関係を構築してきた努力の賜物と考える。
Can Tho Cityにとっても、日本は最も重要なパートナーである。
日本からのCan Tho cityへの象徴的な支援案件は、2010年4月に完成したCan Tho橋と言える。Can Tho橋はベトナム南部のヴィンロン省とカントー市とを結ぶ、メコン川最大の支流「ハウ川(Hậu Giang)」にかかる橋である。
連絡道路を含めたCan Tho橋プロジェクトは全長1万5,850mで、主脚部分は2,750メートルあり、東南アジアの斜張橋では最長の橋である。
2004年に着工し、2010年4月に完成した。総工事費342百万米ドルを要したが、日本からの円借款で賄われた。
Can Tho Bridgeが開通した事により、HCMCからCan Tho Cityまでの所要時間は4時間(開通前の半分)となった。
Can Tho Cityの概要
面積:1,439km2
人口 :143百万人
GDP/一人当たり:3,500ドル
日本向け輸出額:200百万ドル
日本からの輸入額
進出企業数:86社
総投資額:726百万ドル
内、日系企業8社(要検証)
総投資額:32百万ドル
Can Tho Cityから日本企業への投資誘致活動を活発化させるため、人民委員会内の専門組織としてJAPAN DESKを2018年に設置し、現在も活動している。また、日本の東京・大阪にJAPAN DESKの連絡事務所を設置した。
活動の一例とし、次の通り実施した。
1)日本経済文化交流会の開催。2015年より毎年開催してきた。
2)2018年には、ベトナム外務省主催の「メコンデルタ地域に於ける日本企業との対話」が開催された。各政府機関の代表、企業の代表、在越日本大使館・領事館、JICA・JETRO等、日本の機関等々約120社が参加した。促進セミナーにおけるテーマ「可能性を共有し、共に成長する」を開催した。参加者は150名で成功裡に終わった。
3)日本との連携(覚書の締結)
兵庫県県庁、岡山市役所とCan Tho City人民委員会は、双方の投資・貿易の促進活動を目的とした覚書を締結した。
和歌山県・神戸市役所についても、覚書の締結こそないものの協力関係は継続する事となっている。
(アドバイザー 市川 拝)
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