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ベトナム自動車産業の変遷

I. 時代背景(戦争の歴史)

ベトナムは長い戦争の歴史を有している。
約1000年に亘る中国からの侵略に抵抗して来ており、13世期には蒙古軍の3度の襲来を受けその都度撃退した。
第2次世界大戦時にはフランス・日本他から進駐されていたが、大戦終結後1945年9月2日にベトナム民主共和国(北ベトナム)として独立国家の樹立を宣言した。

<フランスからの独立戦争>

然し、その後もフランスはベトナムに駐留し続け、1946年11月フランスとベトナム民主共和国(北ベトナム)の間で戦争状態になり、フランスからの独立戦争(第一次インドシナ戦争)(1946年~1954年)が勃発した。1954年7月かの有名なディエンビエンフーの戦いでフランス軍が降伏し、ベトナムは独立戦争に勝利した。
1955年4月ベトナム民主共和国とフランス他関係国間でジュネーブ和平協定が締結された。その結果、北緯17度線を境界として、不幸にも南北に分断され南にベトナム共和国が成立した。

<ベトナム南北内戦・ベトナム戦争(第2次インドシナ戦争)>

その後、謂わば南北紛争が起こり北ベトナムが南部開放を目指し、1959年5月南部に進撃しベトナム内戦が始まった。その当時、アジア諸国の赤化(ドミノ理論)を恐れた米国が1961年5月この内戦に介入し、所謂ベトナム戦争(ベトナムでは抗米戦争)に発展していった。其の後、戦争が泥沼化した時点でパリで和平協議が開催され1973年1月和平協定(南北ベトナム代表、南ベトナム解放戦線代表、米国代表)が調印され、米国軍の撤退・北爆停止が進められる事になった。其の後も戦争は続いたが、南ベトナム側の士気の低下もあり、北ベトナム側が1976年4月30日ホーチミンを開放し、漸く17年間に亘るベトナム戦争が終結した。
尚、ベトナムはベトナム戦争終結後、平和、独立、民主的である事を表明する為に1977年9月には国際連合に正式に加盟した。
(加盟当初は援助を受ける側であったが、2008年~2009年安全保障理事会非常任理事国として国際連合業務に貢献しており、2020年~2021年の間、再び安全保障理事会非常任理事国務める事になっている。)

<カンボジア侵攻、中越戦争及びカンボジア内戦に介入>

其の後、ベトナムは同胞を助けるとの名目で1979年1月カンボジニアに侵攻した。
一方、カンボジアを支援していた中国は、ベトナムに依るカンボジア侵攻に対する懲罰として、1979年2月、突然国境を越えランソンを占領したが、1979年3月、中国軍はベトナムから撤退し、中越戦争(約1カ月)は終結した。其の後、ベトナムは引き続きカンボジア内戦に介入し、1979年1月に侵攻した後もカンボジアに軍隊を駐留させていたが、1991年カンボジア和平パリ協定により撤退した。
1946年~1979年(33年間)及びカンボジア紛争1979年~1989年(10年間)の都合43年間、戦争に明け暮れた事もあり、国土の荒廃が進み、経済的にも極めて困難な状況であった。配給制をとっており、ハノイでも一時期市場で物がなくなったとのことであった。
そんな状況下、1986年第6回共産党大会でドイモイ(刷新)政策が採択された。その政策の柱は次の3点、これら政策は1992年改正憲法にも網羅された。
(1)市場経済の導入
(2)等距離外交
(3)対外国への開放
其の後、経済の立て直しに注力した。
一方、カンボジア侵攻問題が尾を引き、国際的には其の後も制裁を受けていたが、1992年になり漸くカンボジア侵攻に対する国際的制裁が解除され、日本のODAも1992年11月に再開された。
其の後、1995年には東南アジア諸国連合、自由貿易地域(AFTA)に加盟し、その年に米国との国交正常化がはかれ国際舞台に登壇した。
国内経済的には漸くドイモイ政策の効果(農産物特に米の増産等)が出始めて来て安定化し始めた時代でもあったが、1990年当時、国民一人当たりの所得はUS$98.00でベトナムは最貧国の一つであった。
上述の様な背景もあり、今迄産業の育成を考える余裕が無かった。

II. 自動車産業の変遷

1. 勃興期

1990年初めの時点では、ベトナムでは自動車産業(組立製造業)は存在して居らず、自動車については全て輸入に頼らざるを得なかった。
輸入先としては北部はソ連、東欧諸国(東ドイツ、チェコ)、中国からの輸入乗用車(政府関係官庁向け車両)及び商用車(国営運輸企業向け)が主体であった。
南部は南ベトナム戦争時代、米国、西欧等から流入していた乗用車(例えばRenault、Ford等)がタクシーなどに使われていた。
因みに当時(1990年12月末現在)の自動車保有台数は約20万台(表1参照)であり、内9万台が軍関係、11万台が民間使用されていたと推測されている。

トラック・バス約140千台
乗用車(14人乗以下)約60千台
合計200千台
表1.自動車保有台数(出所:ベトナム公安省(車両登録局))

また、上記登録台数の他に約10万台が市場にあったとの話もあり、合計30万台が当時の市場規模(登録台数ベース)と思われる。
市場に於いて自動車が走行していれば修理、補修部品が必要になるが、当時はメーカー指定の修理工場ではなく、自動車所有組織の修理工場(国営企業)及び主に二輪車を対象としていた小規模修理工場(個人)が自動車の修理も行なっていた。補修用部品は現物合わせで何とかして作って使用していた。
一方、ベトナム戦争下、軍艦及び軍用車の運用を確保するために必要な補修業務を目的とする機能部品を製造する軍需工場、例えばThai Nguyen省の山間部に存在し、大規模な一貫処理(鋳造・鍛造->機械加工->組み付け->検査)が可能な部品製造工場であるSong Cong Diesel社(国営企業)、及び一連の部品を加工製造する企業群が北部に存在し、現在も操業している。当時、筆者は工業省・三菱自工の協力を得てベトナム全土の部品の製造企業を訪問調査した結果では、確かに部品製造会社が存在していたが、精度・品質・耐久性等の問題がある事が判った。
一方、日本企業(ヤンマー・クボタ)が農機製造のため国営企業に技術援助を行い、農機用エンジン部品を製造する工場(二輪車の部品としても使用可能)が南部に存在していた。

2. 外資企業とベトナム企業との合弁事業設立

No.形態会社名本社所在地出資者資本金(US$)主な生産車種ライセンス取得生産開始時期生産能力2020年販売(台)
1合弁Mekong Auto Co.,LtdHCMCSAE Young(韓国) 35% 統一グループ13百万4駆車19911992.51,000 
SAEILO(日本) 35% 統一グループFiatn.a367
VEAM/SAKYNO(国営) 30%(小型乗用車)  
2合弁Vietnam Motors Co.,Ltd(VMC)
現在休業中
HanoiColombia Motors(55%)/ニチメン(15%)10百万Mazda199119931,000n.a
Daihatsu
Hoa Binh Motors(市営)(30%)現物出資n.aKIA
3合弁Vietnam Daewoo Motor Co.,Ltd(VIDAMCO)

 

HanoiDaewoo Motor Corp.(70%) 乗用車19931994  
7983 Mechanic Union(国営)n.a小型乗用車0
国防省傘下(30%現物出資)   
100%GM Vietnam Co.,Ltd
2019年Vinfastに買収される
HanoiGenaral Motors Korea(100%)n.a乗用車20112011 2,657
4合弁Vina Star Motors Corp.(VINASTAR)

 

Binh DuongMitsubishi Motors(25%)16百万One Box199419955,000 
Mitsubishi Corp.(25%)4駆車
Trancimexco(国営25%土地使用権現物出資) 
PROTON(25%) 
合弁Mitubishi Motors Vietnam Co.,Ltd
資本構成・社名変更
資本金増資
Binh DuongMitsubishi Motors(41.2%)n.a乗用車20162016 30,642
三菱商事(41.2%)4駆車
Trancimexco(17.6%現物出資)SUV
5合弁Toyota Motors Vietnam Co.,LtdVinh PhucToyota Motors(70%)89百万乗用車1995199630,00079,328
VEAM 国営(30%現物出資)SUV
One Box
6合弁Ford Vietnam Co.,LtdHai DuongFord(75%)120百万乗用車1995199614,00032,175
Song Cong Diesel(国営)(25% 現物出資)One Box
7合弁Daihatsu Vietnam Co.,Ltd(VINDACO)
2007年6月7日 撤退
HanoiDaihatsu(26%)30百万軽商用車19951996
アストラ(インドネシア)(39%)
Tracinnco 国営(33%現物出資)
8合弁Hino Motors Vietnam Co.,LtdHanoiHino Motorsn.a大型商用車1996.71997.11 2,646
Sumitomo Corp.
Vinamotor
9合弁Isuzu Motors VietnamHCMCIsuzu Motors(35%)15百万中・大型商用車199519965,0008,333
Itochuu(35%)Pickup
Saigon Auto Mecha(20%)
Govap Imp-EXP(10%)
10合弁Benz Vietnam Co.,LtdHCMCDaimler-Benz AG(70%)n.a高級乗用車199519966,0001,434
Saigon Mechanical
Enginering(30%)(現物出資)
11合弁Vietnam Suzuki Co.,Ltd(Visuco)

 

Dong NaiSuzuki Co.,Ltdn.a軽商用車 1996  
Local Partner(国営)Bike
100%Vietnam Suzuki CorporationDong NaiSuzuki Co.,Ltd(4輪車専用工場)n.a軽乗用車201220135,00011,786
軽乗用車
12合弁Chrysler Vietnam
License取得後撤退
Dong NaiChrysler Corpration(70%)n.a乗用車19951996 
13合弁Honda Motor Vietnam Co.,ltd
2008年4輪車の製造開始
Vinh Phuc本田技研工業(42%)追加投資乗用車 200610,00033,102
アジア本田モーター(タイ)28%n.a
VEAM(国営)(30%)
14合弁Tan Chong It Engineering Vietnam
(TCIEV)製造会社
DaNangTan Chong Group(26%)(Malysia)n.a乗用車19962013n.a 
Nissan Japan2,605
Marubeni Corp
Da Nang Mechanical(30%)
Engineering(国営)
15合弁Nissan Vietnam Co.,Ltd
Marketing,販売
2020年9月合弁解消予定
HanoiTan Chong Group(26%)Malaysian.a乗用車2010n.an.an.a
Nissan Japan(74%)
16委託Hyundai Thanh Cong Manufalcturing Vietnam Co.,Ltd(HTMV)

 

Ninh BinhHyundai Motorn.a乗用車2008201112,000 
Thanh Cong Group(民間)
合弁Hyundai Thanh Cong Commercial Vehicle Co.,Ltd(HTCV) Sole Agent in VietnamNinh BinhHyundai Motorn.a乗用車2017201842,0005,118
Thanh Cong Group(民間)商用車
ベトナムに於ける自動車メーカー(外資系)
No.1
形態合弁
会社名Mekong Auto Co.,Ltd
本社所在地HCMC
出資者SAE Young(韓国) 35% 統一グループ
SAEILO(日本) 35% 統一グループ
VEAM/SAKYNO(国営) 30%
資本金(US$)13百万
主な生産車種4駆車
Fiat
(小型乗用車)
ライセンス取得1991
生産開始時期1992.5
n.a
 
生産能力1,000
2020年販売(台) 
367
 
No.2
形態合弁
会社名Vietnam Motors Co.,Ltd(VMC)
現在休業中
本社所在地Hanoi
出資者Colombia Motors(55%)/ニチメン(15%)
Hoa Binh Motors(市営)(30%)現物出資
資本金(US$)10百万
n.a
主な生産車種Mazda
Daihatsu
KIA
ライセンス取得1991
生産開始時期1993
生産能力1,000
2020年販売(台)n.a
No.3
形態合弁
会社名Vietnam Daewoo Motor Co.,Ltd(VIDAMCO)
本社所在地Hanoi
出資者Daewoo Motor Corp.(70%)
7983 Mechanic Union(国営)
国防省傘下(30%現物出資)
資本金(US$) 
n.a
 
主な生産車種乗用車
小型乗用車
 
ライセンス取得1993
生産開始時期1994
生産能力 
2020年販売(台) 
0
 


形態100%
会社名GM Vietnam Co.,Ltd
2019年Vinfastに買収される
本社所在地Hanoi
出資者Genaral Motors Korea(100%)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得2011
生産開始時期2011
生産能力 
2020年販売(台)2,657
No.4
形態合弁
会社名Vina Star Motors Corp.(VINASTAR)
本社所在地Binh Duong
出資者Mitsubishi Motors(25%)
Mitsubishi Corp.(25%)
Trancimexco(国営25%土地使用権現物出資)
PROTON(25%)
資本金(US$)16百万
主な生産車種One Box
4駆車
 
 
ライセンス取得1994
生産開始時期1995
生産能力5,000
2020年販売(台) 


形態合弁
会社名Mitubishi Motors Vietnam Co.,Ltd
資本構成・社名変更
資本金増資
本社所在地Binh Duong
出資者Mitsubishi Motors(41.2%)
三菱商事(41.2%)
Trancimexco(17.6%現物出資)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
4駆車
SUV
ライセンス取得2016
生産開始時期2016
生産能力 
2020年販売(台)30,642
No.5
形態合弁
会社名Toyota Motors Vietnam Co.,Ltd
本社所在地Vinh Phuc
出資者Toyota Motors(70%)
VEAM 国営(30%現物出資)
資本金(US$)89百万
主な生産車種乗用車
SUV
One Box
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力30,000
2020年販売(台)79,328
No.6
形態合弁
会社名Ford Vietnam Co.,Ltd
本社所在地Hai Duong
出資者Ford(75%)
Song Cong Diesel(国営)(25% 現物出資)
資本金(US$)120百万
主な生産車種乗用車
One Box
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力14,000
2020年販売(台)32,175
No.7
形態合弁
会社名Daihatsu Vietnam Co.,Ltd(VINDACO)
2007年6月7日 撤退
本社所在地Hanoi
出資者Daihatsu(26%)
アストラ(インドネシア)(39%)
Tracinnco 国営(33%現物出資)
資本金(US$)30百万
主な生産車種軽商用車
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力
2020年販売(台)
No.8
形態合弁
会社名Hino Motors Vietnam Co.,Ltd
本社所在地Hanoi
出資者Hino Motors
Sumitomo Corp.
Vinamotor
資本金(US$)n.a
主な生産車種大型商用車
ライセンス取得1996.7
生産開始時期1997.11
生産能力 
2020年販売(台)2,646
No.9
形態合弁
会社名Isuzu Motors Vietnam
本社所在地HCMC
出資者Isuzu Motors(35%)
Itochuu(35%)
Saigon Auto Mecha(20%)
Govap Imp-EXP(10%)
資本金(US$)15百万
主な生産車種中・大型商用車
Pickup
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力5,000
2020年販売(台)8,333
No.10
形態合弁
会社名Benz Vietnam Co.,Ltd
本社所在地HCMC
出資者Daimler-Benz AG(70%)
Saigon Mechanical
Enginering(30%)(現物出資)
資本金(US$)n.a
主な生産車種高級乗用車
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力6,000
2020年販売(台)1,434
No.11
形態合弁
会社名Vietnam Suzuki Co.,Ltd(Visuco)
本社所在地Dong Nai
出資者Suzuki Co.,Ltd
Local Partner(国営)
資本金(US$)n.a
主な生産車種軽商用車
Bike
ライセンス取得 
生産開始時期1996
生産能力 
2020年販売(台) 


形態100%
会社名Vietnam Suzuki Corporation
本社所在地Dong Nai
出資者Suzuki Co.,Ltd(4輪車専用工場)
資本金(US$)n.a
主な生産車種軽乗用車
軽乗用車
ライセンス取得2012
生産開始時期2013
生産能力5,000
2020年販売(台)11,786
No.12
形態合弁
会社名Chrysler Vietnam
License取得後撤退
本社所在地Dong Nai
出資者Chrysler Corpration(70%)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得1995
生産開始時期1996
生産能力 
2020年販売(台)
No.13
形態合弁
会社名Honda Motor Vietnam Co.,ltd
2008年4輪車の製造開始
本社所在地Vinh Phuc
出資者本田技研工業(42%)
アジア本田モーター(タイ)28%
VEAM(国営)(30%)
資本金(US$)追加投資
n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得 
生産開始時期2006
生産能力10,000
2020年販売(台)33,102
No.14
形態合弁
会社名Tan Chong It Engineering Vietnam
(TCIEV)製造会社
本社所在地DaNang
出資者Tan Chong Group(26%)(Malysia)
Nissan Japan
Marubeni Corp
Da Nang Mechanical(30%)
Engineering(国営)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得1996
生産開始時期2013
生産能力n.a
2020年販売(台) 
2,605
No.15
形態合弁
会社名Nissan Vietnam Co.,Ltd
Marketing,販売
2020年9月合弁解消予定
本社所在地Hanoi
出資者Tan Chong Group(26%)Malaysia
Nissan Japan(74%)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得2010
生産開始時期n.a
生産能力n.a
2020年販売(台)n.a
No.16
形態委託
会社名Hyundai Thanh Cong Manufalcturing Vietnam Co.,Ltd(HTMV)
本社所在地Ninh Binh
出資者Hyundai Motor
Thanh Cong Group(民間)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
ライセンス取得2008
生産開始時期2011
生産能力12,000
2020年販売(台) 


形態合弁
会社名Hyundai Thanh Cong Commercial Vehicle Co.,Ltd(HTCV) Sole Agent in Vietnam
本社所在地Ninh Binh
出資者Hyundai Motor
Thanh Cong Group(民間)
資本金(US$)n.a
主な生産車種乗用車
商用車
ライセンス取得2017
生産開始時期2018
生産能力42,000
2020年販売(台)5,118
ベトナムに於ける自動車メーカー(外資系)

ベトナム政府は、早期に世界の一流メーカーの支援を受けて自動車を育成したいとの意向を強く持っていた。
懸かる状況下、自動車製造業への進出に強い意欲を持っていた韓国統一グループ(当時会長は文鮮明氏:早稲田大学理工学部卒)がベトナムに非常に興味を示し、1989年にベトナム政府に働きかけた。
ベトナム政府もこれを歓迎し、ベトナム国営企業との合弁でベトナム初の自動車組立工場がホーチミン市に1991年6月に設立され、最初の自動車(4輪駆動車)の製造を1992年5月に開始した。
組立部品(当初1,000台分)は韓国双龍自動車(アメリカンモーターのKORAND:4駆車)から購入・輸入したが、特に双龍自動車からの技術支援は受けていなかった。
その後、同社はイタリアFIAT社軽乗用車・トラック(IVECO)の製造・販売をしていた。
更に1991年9月、フィリピンのColumbia Motors社(親会社は木材関係の業務を行なっていた)がハノイにあるHoa Binh Motors社(市営・バスを製造)と合弁会社を設立し、フィリピンで同社が組み立てていた車種(Mazda,Kia,日産Diesel,Daihatsu)をそのままベトナムに輸入し、組立・製造・販売を開始した。当初、Mazdaはその事実を把握していなかったが、組立製造を認め、Brandを使用する事もあり技術指導を行なった。
其の後、同社は一時日産車(Taxi)の組み立てを行っていたが、現在は休眠状態にある。
以上の2社が謂わば自動車製造業のパイロットとして、1991年ベトナムに進出した。
其の後、1993年12月、韓国大宇自動車が国防省傘下の国営企業と組み、軍用車を組立製造するライセンスを取得し、大宇自動車(実際には乗用車)のモデルを1994年より組立製造を開始した。
その後、General Motors(GM)が大宇自動車に資本投下した経緯もあり、2011年、従来の合弁会社(VIDAMCO)をGM Koreaが買収し、GM Vietnam Co.,Ltd(100%GM資本)としてGM車を製造、組立、販売していた。
更にGM Vietnamは、2018年6月、VIN Groupの傘下になったが、GM車の販売は継続している。
三菱自動車工業/三菱商事/PROTON(マレーシア)/ベトナム国営企業4社は、第4番目の合弁事業として1992年にライセンス申請を政府に提出、2年後の1994年2月ライセンス取得し、Vina Star Motors Corporationとして1995年9月、Song Be省(現Binh Duong省)で三菱自動車工業・PROTONブランドの自動車(乗用車・商用車)の組立製造・販売を開始した。尚、三菱自工のトラック部門が分離独立し、ダイムラーベンツ傘下になった事もあり、トラックについては2014年Bentz Vietnamに移管した。

1994年当時、ベトナム政府が上述4社に絞る事も検討しているとの情報が流れた事もあり、急遽Toyota Motors, Ford Motors, Daihatsu Motors, Hino Motors, Isuzu Motors, Daimler Benz, Suzuki, Chryslerの8社が政府に投資ライセンスの申請を相次いで提出した。1995年~1996年の2年間で8社がライセンスを取得した。
但し、米国Chryslerはライセンスを取得したが直ちに撤退した。尚、Vietnam Daihatsuは2007年に撤退済みである。
一方、Hondaは2008年より2輪車工場の隣接地に4輪車の製造工場を建設し、製造・販売を開始した。
また、韓国現代自動車は、各社がベトナムに注目していた時期にライセンス取得手続きを開始したが、最終的に提出しなかった。然し、現代自動車は2009年ベトナム民営企業であるタインコングループに組み立て委託を行い、ベトム市場に進出している。現在、タインコングループと合弁会社を設立し、北部で製造・販売を展開している。
日産自動車は、マレーシアタンチョンモーターが中部ダナンにある企業に委託組み立てを行っていたが、最近、日産自動車自ら委託製造・販売を行う事になった。
2019年末現在、ベトナム企業と合弁・独資で事業を行っている外国系自動車メーカー企業数は13社となっている。

3. ベトナム民族系自動車企業

No.会社名略称本社所在地経営陣資本金主な生産車種設立年月日生産開始時期生産能力2019年販売
1Truong Hai Auto Corporation
乗用車・商用車・バスの製造組立・販売

 

自動車用部品の製造(内製)・輸出

従業員:20,000名

VAMA加盟会社

THACO本社:Dong Nai(Bien Hoa)
1997年4月設立

 

本社工場:Quan Nam省
2003年Thaco Chu Lai Mechanical Automotive Industrial Parkに工場移転

会長:Mr. Tran Ba Duong(社主)
社長:Mr. Pham Van Thai
200tyVNDKIA2002年2003年20,000 
KIA新工場 50,00030,103
Mazda2011年専用工場2012年10,000
2017年3月新工場着工2018年3月50,00032,731
BMW 2019年1月n.a 
Peuget 2019年5月20,0003,636
Truck(中国/FUSO 2019年Benzより受託)  23,004
Bus(THACO)   2,236
   Total91,710
2VINFAST TRADING & PRODUCTION LLC(Hai Phong Plant)
乗用車(自社ブランド)製造組立・販売

 

電動スクーターの製造組立・販売

将来:電気自動車の組立製造・販売

従業員:n.a

VAMA非加盟

GM Vietnam買収(2018年6月)

VINFAST本社工場:Dinh Vu Cat Hai Economic Zone Hai Phong, Vietnam
総面積:335ha

 

主要工場:
Stamping Shop
Body Assembly Shop
Engine Assembly Shop
Painting Shop
General Assembling Shop
Inspection

Vin Group会長:Mr.Pham Nat Vuong
Vin Group代表:Ms Duong Thi May Hoa
General Director:Mr.James B. De Luca(元GM Vice Chairman)
US$1.5billion乗用車2017年6月
ライセンス取得
2019年6月2025年VINFAST
販売台数
n.a
(自社ブランド)50万台
Vinfast2017年9月
工場着工
Lux A 2.0
(Sedan)
LuxX SA2.0
(SUV)
FADIL
乗用車(GMブランド)End/20182,657
3Saigon Mechanical Enginering Corpration
HCMC市営企業:
2010年株式化(一人有限会社)
従業員:7,215人
SAMCO本社
HCMC
Mr.NGUYỄN HỒNG ANH
Members’ Council Chairman
Mr.TRẦN QUỐC TOẢN(General Director)
1,796,569百万VND当初は修理業務を主体としていた。

 

一時Hyundai Truck組み立ていた。
Bus架装
Truck Body架装

1975年 5,000 
合計:665
2006年
2011年
4XUAN KIEM AUTO Joint Stock Company(個人事業)
2015年撤退
VinaxukiHanoiMr.Bui Ngoc Huyen
元交通運輸通信省局長
n.a軽乗用車(自社ブランド)2004年2005年n.an.a
VAMA非加入
小型商用車(中国製)乗用車用Body製造
5TMT MOTORS JOINT STOCK COMPANY
1976年設立
TMTHANOI
CUU LONG AUTO-MOBILE FACTORY
General Director:Mr. Dang Quang Vinh372,876百万VND商用車n.an.an.an.a
VAMA非加入
Cuulpng Brand(中国製)
ベトナムに於ける自動車メーカー(地場企業)
No.1
会社名Truong Hai Auto Corporation
乗用車・商用車・バスの製造組立・販売
自動車用部品の製造(内製)・輸出

従業員:20,000名

VAMA加盟会社
略称THACO
本社所在地本社:Dong Nai(Bien Hoa)
1997年4月設立
本社工場:Quan Nam省
2003年Thaco Chu Lai Mechanical Automotive Industrial Parkに工場移転
経営陣会長:Mr. Tran Ba Duong(社主)
社長:Mr. Pham Van Thai
資本金200tyVND
主な生産車種KIA
Mazda
BMW
Peuget
Truck(中国/FUSO 2019年Benzより受託)
Bus(THACO)
設立年月日2002年
KIA新工場
2011年専用工場
2017年3月新工場着工
 
 
2019年
 
生産開始時期2003年
 
2012年
2018年3月
2019年1月
2019年5月
 
 
生産能力20,000
50,000
10,000
50,000
n.a
20,000
 
 
2019年販売 
30,103
32,731
 
3,636
23,004
2,236
No.2
会社名VINFAST TRADING & PRODUCTION LLC(Hai Phong Plant)
乗用車(自社ブランド)製造組立・販売
電動スクーターの製造組立・販売

将来:電気自動車の組立製造・販売

従業員:n.a

VAMA非加盟

GM Vietnam買収(2018年6月)
略称VINFAST
本社所在地本社工場:Dinh Vu Cat Hai Economic Zone Hai Phong, Vietnam
総面積:335ha

主要工場:
Stamping Shop
Body Assembly Shop
Engine Assembly Shop
Painting Shop
General Assembling Shop
Inspection
経営陣Vin Group会長:Mr.Pham Nat Vuong
Vin Group代表:Ms Duong Thi May Hoa
General Director:Mr.James B. De Luca(元GM Vice Chairman)
資本金US$1.5billion
主な生産車種乗用車
(自社ブランド)
Vinfast
Lux A 2.0
(Sedan)
LuxX SA2.0
(SUV)
FADIL
乗用車(GMブランド)
設立年月日2017年6月
ライセンス取得
2017年9月
工場着工
生産開始時期2019年6月
End/2018
生産能力2025年
50万台
2019年販売VINFAST
販売台数
n.a
2,657
No.3
会社名Saigon Mechanical Enginering Corpration
HCMC市営企業:
2010年株式化(一人有限会社)
従業員:7,215人
略称SAMCO
本社所在地本社
HCMC
経営陣Mr.NGUYỄN HỒNG ANH
Members’ Council Chairman
Mr.TRẦN QUỐC TOẢN(General Director)
資本金1,796,569百万VND
主な生産車種当初は修理業務を主体としていた。
一時Hyundai Truck組み立ていた。
Bus架装
Truck Body架装
設立年月日1975年
生産開始時期 
2006年
2011年
生産能力5,000
2019年販売 
合計:665
No.4
会社名XUAN KIEM AUTO Joint Stock Company(個人事業)
2015年撤退
略称Vinaxuki
本社所在地Hanoi
経営陣Mr.Bui Ngoc Huyen
元交通運輸通信省局長
資本金n.a
主な生産車種軽乗用車(自社ブランド)
小型商用車(中国製)
設立年月日2004年
乗用車用Body製造
生産開始時期2005年
生産能力n.a
2019年販売n.a
VAMA非加入
No.5
会社名TMT MOTORS JOINT STOCK COMPANY
1976年設立
略称TMT
本社所在地HANOI
CUU LONG AUTO-MOBILE FACTORY
経営陣General Director:Mr. Dang Quang Vinh
資本金372,876百万VND
主な生産車種商用車
Cuulpng Brand(中国製)
設立年月日n.a
生産開始時期n.a
生産能力n.a
2019年販売n.a
VAMA非加入
ベトナムに於ける自動車メーカー(地場企業)

1)Truong Hai Auto Corporation(略称THACO)
Troung Hai Automobile Co.,Ltd(略称THACO)は、1997年4月、Dong Nai省Bien Hoa工業団地に設立された。同社は、当時三菱自動車の乗用車を製造販売していたVina Star Motors Co.,Ltd(現Mitsubishi Motors Vietnam Co.,Ltd)のDealerの一社であった。三菱車の販売の傍ら、中国製商用車の組立部品を輸入して組立製造・販売していた。(筆者も当時見学視察に行った事もあった)謂わば自動車ビジネスの経験者であった。
2003年、ベトナム政府の勧めもあり、ベトナム中部Quan Nam Manufacturing and Assembly Complex内の広大な敷地(600ha)に移転し、Kia(韓国)、Mazda(日本)、中国製トラック及びバス(自社ブランド)、加えてPeugeot(フランス)を組立製造し、販売をしていた。其の後、KIA, Mazda, Peugeotそれぞれの専用工場を建設し、各社のメーカーブランド(自社ブランドでない)で委託生産を大規模に展開している。
尚、商用車については三菱Fuso TruckをFusoブランドで委託生産契約を、2017年12月、Daimler Benzと調印し委託生産契約を締結し生産を開始した。
中国製商用車・バスについては、メーカー名(THACO)を前面的に押し出して販売している。
広大な敷地内で特装トラック、自動車用部品(変速機部品、樹脂製品等)を内製しており、一部は韓国等にも輸出している。
世界的な自動車メーカーが、メーカーブランドで技術支援を供与しながら委託生産を同社宛に行なっている事もあり、THACO自身の生産技術が向上する事が期待される。

2)VINFAST TRADING & PRODUCTION LLC(略称:VINFAST)
VINFAST TRADING & PRODUCTION(略称VINFAST)はベトナムにおける不動産、ホテル、小売業、病院、教育、航空事業を手がけるコングロマリットであるVin Groupに属する自動車生産会社で、2017年6月、北部ハイフォン市のDinh Vu Cat Hai Economic Zoneに335haの土地を確保して設立された。
Vin Group会長のMr. Pham Nhat Vuongは、生産管理業務に豊富な経験を有している元General Motors副会長Mr. James B. DelucaをVINFASTの社長として任命した。
生産車種は乗用車、電動スクーター(自社ブランド:Klara)の生産をBoschの支援を得て2019年6月に製造・販売を開始した。今後は電気自動車(EV)をVWの技術指導を得て、生産・国内販売する計画で更に米国市場への参入を図らんとしている。
乗用車はBMWのフレームをベースにしている。ブランド名はベトナムユーザーを対象としたアンケート調査を実施した上で、自社ブランド(Lux・Fadil)を採用した。
Lux A2.0(高級セダン)販売価格:約650万円
Fadil(小型乗用車)販売価格:約200万円
尚、VINFASTは2018年7月、GM Vietnamを買収し、GM Model(CHEVROLET)も販売する様になった。

3)Saigon Mechanical Engineering Corporation(略称SAMCO)
Saigon Mechanical Engineering Corporation(略称SAMCO)ホーチミン市営企業とし、1995年設立された。設立当初は主に自動車修理業務、一部自動車部品の製造を行なっていた。
現在はTruckの車体(Cab & Chassis)を自動車メーカーから購入、または所有者からの注文でTruckのボデイ架装、またバス架装を行う業務を行なっている。

4)その他地場の自動車メーカーは下記の通り2社がある
TMT社T(民間企業)は、ハノイで中国製トラックとインドTata Motorsの小型商用車を製造している模様だが詳細は不明である。
何れにせよ、今後地場100%の自動車メーカーとして存続し得るのはTHACO、VINFASTの2社に集約されると思われ、THACO及びVINFAST両社は民族系の自動車生産の大規模事業として展開して行くであろう。将来はベトナムに於ける有力な自動車地場メーカーの双璧になっていく事が期待される。
THACO社ついて言えば、特に乗用車では今迄Brandが確立されたメーカーの生産委託企業として発展して来ている。一方、VINFAST社は後発であり且つ自社ブランドの浸透・確立には時間を要するが、それを乗り越えて展開を図って行く事になる。
両社の今後の発展振りに大いに注目したい。

各自動車メーカー(VAMA加盟企業)の2020年、年間販売台数は下記(表2)をご参照。
2019年比販売台数が減少している企業が多い。全体としてTHACOが首位を確保し、TOYOTAが第二位となっている。

Noメーカー車種2019年(台)2020年(台)対2019年比増(台)
1Toyota Vietnam乗用車
Van, PickUp
79,32870,6928,636
レクサス1,5111,44467
Sub total(Toyota) 80,83972,1368,703
2THACOKia, Truck55,34364,0928,749
MAZDA32,73132,224507
Peoget3,6364,411875
Sub total(THACO) 91,710100,7279,017
3Ford Vietnam乗用車
Van, PickUp
32,17524,6637,512
4Honda Vietnam乗用車33,10224,4188,684
5Mitsubishi Vietnam乗用車30,64228,9541,688
6Suzuki Vietnam軽自動車11,78614,5182,732
7Isuzu VietnamTruck8,3338,925592
8Hino VietnamTruck2,6463,325679
9Benz Vietnam高級乗用車1,434n.an.a
10GM Vietnam乗用車2,6575082,149
Daewoo BusBus23385148
Sub total 2,8905932,297
11TCIEV(Nissan)乗用車2,6462,041605
12VEAM 1,000508492
13SAMCO特装車665331334
14Mekong 367n.an.a
15Vina motor軽トラック761392n.a
16山陽(SYM) n.an.an.a
 Grand Total 303,653283,98319,760
表2.ベトナム自動車メーカー別販売台数(2019年・2020年)(出典:VAMA(ベトナム自動車製造協会))
No.1
メーカーToyota Vietnam
Sub total(Toyota)
車種乗用車
Van, PickUp
レクサス
 
2019年(台)79,328
1,511
80,839
2020年(台)70,692
1,444
72,136
対2019年比増(台)8,636
67
8,703
No.2
メーカーTHACO
Sub total(THACO)
車種Kia, Truck
MAZDA
Peoget
 
2019年(台)55,343
32,731
3,636
91,710
2020年(台)64,092
32,224
4,411
100,727
対2019年比増(台)8,749
507
875
9,017
No.3
メーカーFord Vietnam
車種乗用車
Van, PickUp
2019年(台)32,175
2020年(台)24,663
対2019年比増(台)7,512
No.4
メーカーHonda Vietnam
車種乗用車
2019年(台)33,102
2020年(台)24,418
対2019年比増(台)8,684
No.5
メーカーMitsubishi Vietnam
車種乗用車
2019年(台)30,642
2020年(台)28,954
対2019年比増(台)1,688
No.6
メーカーSuzuki Vietnam
車種軽自動車
2019年(台)11,786
2020年(台)14,518
対2019年比増(台)2,732
No.7
メーカーIsuzu Vietnam
車種Truck
2019年(台)8,333
2020年(台)8,925
対2019年比増(台)592
No.8
メーカーHino Vietnam
車種Truck
2019年(台)2,646
2020年(台)3,325
対2019年比増(台)679
No.9
メーカーBenz Vietnam
車種高級乗用車
2019年(台)1,434
2020年(台)n.a
対2019年比増(台)n.a
No.10
メーカーGM Vietnam
Daewoo Bus
Sub total
車種乗用車
Bus
 
2019年(台)2,657
233
2,890
2020年(台)508
85
593
対2019年比増(台)2,149
148
2,297
No.11
メーカーTCIEV(Nissan)
車種乗用車
2019年(台)2,646
2020年(台)2,041
対2019年比増(台)605
No.12
メーカーVEAM
車種 
2019年(台)1,000
2020年(台)508
対2019年比増(台)492
No.13
メーカーSAMCO
車種特装車
2019年(台)665
2020年(台)331
対2019年比増(台)334
No.14
メーカーMekong
車種 
2019年(台)367
2020年(台)n.a
対2019年比増(台)n.a
No.15
メーカーVina motor
車種軽トラック
2019年(台)761
2020年(台)392
対2019年比増(台)n.a
No.16
メーカー山陽(SYM)
車種 
2019年(台)n.a
2020年(台)n.a
対2019年比増(台)n.a
 Grand Total
  
2019年(台)303,653
2020年(台)283,983
対2019年比増(台)19,760
表2.ベトナム自動車メーカー別販売台数(2019年・2020年)(出典:VAMA(ベトナム自動車製造協会))

企業名車種2019年(台)2020年(台)対2019年比増(台)
Hyundai(現代車)
Thanh Cong Motors
乗用車79,56881,3681,800
VIN FAST乗用車029,48529,465
その他の
VAMA非加盟企業
n.a16,24912,6515,598
合計 95,817123,50427,687
表3.VAMA非加盟企業の販売状況(出典:各種データに基づき筆者作成)
企業名Hyundai(現代車)
Thanh Cong Motors
車種乗用車
2019年(台)79,568
2020年(台)81,368
対2019年比増(台)1,800
企業名VIN FAST
車種乗用車
2019年(台)0
2020年(台)29,485
対2019年比増(台)29,465
企業名その他の
VAMA非加盟企業
車種n.a
2019年(台)16,249
2020年(台)12,651
対2019年比増(台)5,598
 合計
  
2019年(台)95,817
2020年(台)123,504
対2019年比増(台)27,687
表3.VAMA非加盟企業の販売状況(出典:各種データに基づき筆者作成)

 2015年2016年2017年2018年2019年2020年
国内組立車173,040228,964467,710504,137511,261483,738
輸入完成車71,87475,46377,79072,979134,013109,530
合計244,914304,427545,500577,116645,274593,268
表4.国内生産車・輸入車販売台数推移(過去6年)(出典:VAMA/JETRO 注)2017年以降VAMA非加盟企業を含む)
 国内組立車
2015年173,040
2016年228,964
2017年467,710
2018年504,137
2019年511,261
2020年483,738
 輸入完成車
2015年71,874
2016年75,463
2017年77,790
2018年72,979
2019年134,013
2020年109,530
 合計
2015年244,914
2016年304,427
2017年545,500
2018年577,116
2019年645,274
2020年593,268
表4.国内生産車・輸入車販売台数推移(過去6年)(出典:VAMA/JETRO 注)2017年以降VAMA非加盟企業を含む)

2019年上半期2020年上半期2021年上半期
VAMA販売台数
92,811台
VAMA販売台数
60,825台
VAMA販売台数
85,085台
表5.2019年(上半期)/2020年(上半期)/2021年(上半期)販売台数比較(コロナの影響を検証)(出典:VAMA)
2019年上半期VAMA販売台数
92,811台
2020年上半期VAMA販売台数
60,825台
2021年上半期VAMA販売台数
85,085台
表5.2019年(上半期)/2020年(上半期)/2021年(上半期)販売台数比較(コロナの影響を検証)(出典:VAMA)

コロナの問題もあり2020年上半期の販売は低迷したが、2021年上半期は若干取り戻している。

3. ベトナム自動車(現地生産車)販売推移(1995年~2020年、2021年上半期)

1995~1999年官需(政府・公営企業)向け販売で国家予算で購入しており、毎年略同じ販売台数(約6千台)
2000年に私企業設立に関する規制緩和(約84規制が撤廃されたと言われていた)が行われたと同時に、外国(当時、主にOverseas Vietnamese)からベトナムへの外貨送金(毎年約80億米ドル)についても規制緩和(送金は銀行経由とし、原則使途は問われない)が行われた事になり、2000年以降は南部を中心に民間企業(主にTaxi・レンターカー会社、IT関連会社)が設立され、その企業の業務用車としての需要が出て来た。2007年(WTO加盟):加盟後は外資系(合弁会社、100%独資会社)の設立が多く、自動車の需要が旺盛になった。

アセアン諸国(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)の自動車産業(生産台数)との比較は(表4)ご参照。

4. ベトナムに於ける自動車産業育成に関わるマスタープラン

2014年7月16日付首相決定1168/QD-TTg 2025年向け自動車産業発展戦略、及び2035年迄のビジョンが発布された。自動車産業を国の重要産業と改めて位置づけている。
自動車関連の裾野産業を育成し、その結果として競争力を強化し、輸出産業と育成するのが狙い。
また、本首相決定を受け、2014年7月24日付首相決定1211/QD-TTgを発布し、車種(乗用車、商用車、特殊車両)を対象として先ず国内需要を満たす事を狙い、ベトナム裾野産業企業が世界のサプライチエーンにリンクする事により自動車の裾野産業の発展に貢献し、ベトナムの他の産業の裾野産業の発展に寄与する事を目標としている。
上述二つの首相決定で対象車種(数値目標)・優遇措置等を具体的に規定する、2016年2月4日付首相決定229/QD-TTgが発布された。
数値目標:国内生産台数2020年:20万台、2025年:47万台、2035年:153万台
優遇措置:法人税・土地使用への優遇、機械・設備輸入税の優遇、重点部品製造への優遇等

1992年、自動車産業発展政策が発布されて以来27年余経過しているが、その間、数度に亘り自動車産業発展マスタープランが策定されて来たが、その都度生産台数の数値目標が主体となって居り、自動車産業育成の為の具体的方策が明確になっていなかった。一部メーカーでは自動車部品の自社生産を行っているが、全体として自動車関連の裾野産業の発展は残念ながら大きく進展していないのが実情。
従って、今後のマスタープラン時には対象車種、輸出問題、裾野産業育成等の具体的施行策を関係者間にて協議の上策定する事を提案したい。

5. 自動車に関わる税制度他

1)輸入関税
ASEAN各国では、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)に基づき相互に輸入関税を撤廃している。後発ASEAN(カンボジア、ラオス、ミヤンマー、ベトナム)については、特に自動車(完成車、部品)の輸入関税が2010年1月1日撤廃された。但し、ASEAN諸国(例えばタイ、インドネシア等)がベトナムに完成車を輸出する場合は品質等を保証する証明書が必要になっている。

2)特別消費税(奢侈税:Special Comsumer Tax)
乗用車は奢侈品と見做され、1992年より特別消費税(SCT)が課税(当時販売価格の100%)された。但し、ベトナムで生産された乗用車については95%の減免の優遇措置(期間5年間)が適用された。
其の後、座席数及びエンジンの排気量に応じて特別消費税の税率を設定。

座席数2003200420052006~2008
5人乗り以下5%24%40%50%
6人~15人乗り3%15%25%30%
座席数5人乗り以下
20035%
200424%
200540%
2006~200850%
座席数6人~15人乗り
20033%
200415%
200525%
2006~200830%

現在は下記の通りエンジンの排気量に応じて特別消費税の税率を設定(より合理になった)。

 エンジン排気量(CC)SCT 2016年〜6月SCT 2016年7月1日〜SCT 2018年1月1日〜
9人乗り以下
乗用車
1500以下45%40%35%
1500超〜2000以下45%45%40%
2000超〜2500以下50%50%50%
2500超〜3000以下50%55%60%
3000超〜4000以下60%90%90%
4000超〜5000以下60%110%110%
電気自動車 9人乗り以下:15%16人乗り以下:10%25人乗り以下:5%
 エンジン排気量(CC)SCT 2016年~6月
9人乗り以下
乗用車
1500以下45%
1500超~2000以下45%
2000超~2500以下50%
2500超~3000以下50%
3000超~4000以下60%
4000超~5000以下60%
電気自動車9人乗り以下:15%
 エンジン排気量(CC)SCT 2016年7月1日~
9人乗り以下
乗用車
1500以下40%
1500超~2000以下45%
2000超~2500以下50%
2500超~3000以下55%
3000超~4000以下90%
4000超~5000以下110%
電気自動車16人乗り以下:10%
 エンジン排気量(CC)SCT 2018年1月1日~
9人乗り以下
乗用車
1500以下35%
1500超~2000以下40%
2000超~2500以下50%
2500超~3000以下60%
3000超~4000以下90%
4000超~5000以下110%
電気自動車25人乗り以下:5%

3)車両登録税
自動車登録税については、2013年4月1日、従来の20%を10%に改訂した。登録税は各地方の登録局の裁量(Max50%増し)に依って決定される。
ハノイ、ホーチミンは15%に設定されていた。
其の後、ハノイは12%、ホーチミンは10%になっている。
電気自動車に付いては50%に減免される可能性ある。

6. 自動車産業の今後

1)電気自動車の投入
脱炭素社会の早急実現に向けた地球温暖化防止の国際的枠組みである「パリ協定」の下、世界各国で自動車の電動(EV)化に向かう流れが加速しており、特に欧州市場では2030年までにVW, Benz, ルノーG等が2030年迄にEV化を推進する事になっている。
ベトナムもその流れの中におり、VINFAST社が電気自動車(スポーツ多目的車:SUV)をベトナムで製造し、2021年11月にベトナム市場で販売開始し、更に米国・欧州市場への進出を計画している。ベトナムでの販売価格は6億9,000万ドン(約330万円)。フル充電で300km走行可能。充電施設も既に自社の住宅敷地内に設置し、今後はハノイ市内に2万ヶ所の充電スタンドを提携者とタイアップしながら設置予定。尚、車載バッテリーは台湾プロロジウムテクノロジー(PLG)と合弁会社を設し、EV用全固体電池を製造する計画。

<一口メモ>
電気自動車には次の4-Typeがある。

Type Merit/Demerit
1)HVHybrid Vehicle燃費が比較的良い/電池劣化
2)PHVPlug-in Hybrid Vehicle充電可能・航続距離長い
3)EVElectric Vehicle維持費廉価/充電に時間を要す
4)FCVFuel Cell Vehicle二酸化炭素の排出量ゼロ、水素ステーションの普及率が低い

2)自動車産業に於ける新しい概念「CASE」
自動車関係の話題で最近耳にする機会が増えてきた言葉の一つに「CASE(ケース)」がある。これは、Connected:繋がる化、Autonomous:自動、Shared/Service:共有化・サービス化、Electric:電動化の4つの頭文字をとった造語。
自動車産業の今後の動向を示す重要な鍵であり、自動車メーカーを初め自動車関連各社の事業の方向性を示す指針にもなり得るキーワードです。

*1 Conrectedの「C」
ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、車両の状態や周囲の道路状況など各種ビックデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析する事で、様々な価値を生み出す事が期待出来る。「繋がるクルマ」を指す通信機能を生かす事で、自動運転、エンターテインメントを初めとした様々なサービス展開が考えられる。自動車メーカーが単に自動車を製造・販売するのに止まらず、モビリティサービス提供会社へと変革し、顧客へのサービス価値を高めて行く事になる。乗用車だけではなく、商業車では物流システムに於いてトラックデータの連携・輸送/配送の効率化を計ることも期待される。

*2 A(Autonomous)
自動運転は性能に応じて5段階のレベルに分かれる。日本では高速道路等運転者のハンドリング、加減速等、一部の操作を自動化するレベル2が普及し、2020年4月より自動車運行の保安基準が策定され、高速道路、一般公道でもレベル3での自動運転が認められた。
ベトナムでは道路インフラが未だ整備されていない状況下、自動運転機能を活用出来る段階ではないが、今後、高速道路等特定の場所に於いては自動運転が出来る時代が到来するであろう。

*3 S(Shared/Service)
シェアリングはレンタカー会社等の事業者が企業や個人に貸し出すカーシェアリング(一般的なレンタカー:利用車種は選択可能)と、車両所有者が利用者(会員組織の場合もある)と結び付けて使用するライドシェアリング(原則車種は選択出来ない、利用は短時間可能)がある。また、自動車の所有者と利用者と結び付け、相乗りを行う「ライドシェアリング」があるが、ベトナムでは法律上の制約もあり未だ一般的ではない。

[CASE]のE(Electric)電動化

電動化の動きは世界各国・地域のエネルギー政策と合わせ、各種環境規制の強化等の背景に電動化は加速されている。再生エネルギー発電に依るバッテリー充電を組み合わせた電動車、更に燃料電池・水素活用への発展に繋がっている。例えば、日本では2050年を視野に水素社会を実現する計画。
自動車メーカーは製造・販売するだけではなく移動すると言うサービスを提供するモビリティプロバイダーになる。
現在、「CASE」に関連する様々な取り組みが行われており、各種データ活用の高度化、通信インフラ・車載ソフトの進化、物流システムの発展、電気自動車・水素活用の取り組みが進み、これからもこの取り組みは加速され、既存サービスは深化し、新規サービスが生まれる事が想定出来ますので、此処に新しいビジネス機会が期待されます。

市川 匡四郎

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