RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)「東アジア地域包括的経済連携」

RCEP「東アジア地域包括的経済連携」

ベトナムは、1976年のベトナム戦争終結後、ソ連、東欧、キューバ等、共産主義国の支援を仰ぎながら国の再建を行ってきた。しかしながら、1980年代に入り再建・運営に行き詰まり、1986年、共産党大会でドイモイ(刷新)政策を導入する事を採択した。
ドイモイ政策は、
 1)市場経済化
 2)等距離外交
 3)他国との経済連携を図る
の3本柱になっており、その後、積極的な関係構築に努力した。
1994年、米国経済封鎖が解除され、翌年の1995年には米国との国交が回復し、同年、東南アジア諸国連盟(ASEAN)に加盟した。
1998年、アジア太平洋経済協力(APEC)に加盟し、更に2007年1月、150番目の加入国としてW T Oにも加盟した。
こうしてベトナムは、外交面・経済面で国際舞台への登場を果たしていった。
日本との関係では、2004年、日越投資協定が締結され、1995年中頃からベトナム進出を果たしていた日本企業を法制面で支援した。
更に2009年、日越経済連携協定(JVEPA)が発効した。この協定は、ベトナムにとって初めての二国間協定である。

今回、2020年11月15日に調印されたRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)「東アジア地域包括的経済連携」(多国間協定)は、中国が主導的役割を果たしてきており、ベトナムを含むアセアン諸国連合10ケ国と中国・日本・韓国・豪州・N Z、計15ケ国の加盟国からなっている。
当初、インドが加盟予定国となっていたが、2019年11月の調印を前に突如離脱した。

本協定の目的とする処は、域内に於ける物品貿易、サービス貿易、投資の自由化で多国間主義・自由貿易を目指している。
今後、各国が本協定を批准して初めて発効する事になる。

一方、米国が主導的役割を果たしてきたTPP(Trans-Pacific Partnership Agreement、略称:TPP)「環太平洋パートナーシップ協定」(多国間協定)には、2010年11月に参加表明しており、当初の加盟予定国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、米国の12ケ国で、2016年2月に署名された。
その後、米国がTPPを離脱した。
懸かる状況下、日本が主導的役割を果たし、残留する11ケ国と継続協議して取り纏め、TPP11として2018年3月に発足した。
その後、英国、台湾が加盟したいとの意向表明があり、中国からも秋波が送られている。

アセアン諸国を中心として、二つの大きな多国間経済連携が存在し、謂わば米中覇権戦争の縮図となっている様にも思う。
ベトナムがこの様な状況下で、益々の経済発展が出来る事を願いたい。
(アドバイザー 市川 拝)

ベトナム・ASEAN諸国と他の経済圏との連携

経済統合・連携の道程

  • 1986年 ドイモイ政策(市場経済、他国との経済連携、等距離外交)
  • 1995年 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟
  • 1998年11月 アジア太平洋経済協力(APEC)加盟
  • 2004年 日越投資協定発効
  • 2007年1月11日 WTO加盟(150番目の加入国)
  • 2008年12月1日 AJCEP(日本ASEAN包括的経済連携協定)発効
  • 2009年10月1日 JVEPA(日越経済連携協定)発効、ベトナム初の二国間EPA
  • 2010年11月 TPP(環太平洋パートナーシップ)参加表明。
    以降米国が主導的役割を果たして来たが、米国が離脱後TPP11として継続協議し、日本が主導的役割を果たしTPP11として2018年3月発足。
  • 2013年 東アジア包括経済連携(RCEP)に付きブルネイにて交渉開始。
    中国が主導的役割を果たして来た。最終的に2019年11月インドが離脱。2020年11月参加15ヵ国(ASEAN10ヵ国+日本・中国を含む5ヵ国)が調印。
  • 2015年12月 AEC(Asean Economic Community )発足し、モノ・ヒト・サービスに付き域内移動の自由化を促進し国際競争力を高める事を目標としている。
    今後2025年に向けAEC2025目標として域内の自由化を推進する事になっているが、PTT11. RCEPの連携との関連を見ながらAECを推進してゆく事になる。
ベトナム関連諸国経済連携関連図

東アジア「包括的経済連携構想(RCEP)」
ベトナムも参加(2019年)

  • ASEAN+日本、中国、韓国、豪州、NZの15ヵ国から成る広域多国間経済連携
    ─ 一方、南シナ海問題がクローズアップされている
    経済規模:人口34億人
  • 2012年12月 経済大臣会議開催
  • 2013年5月 ブルネイで第1回交渉開催
  • 2019年11月 第3回首脳会議(インドが離脱表明)
  • 2020年11月 調印(今後各国で批准手続きが行われる)
  • 対象議題:物品貿易、サービス貿易、投資の自由化を議題として討議。

ASEAN経済共同体(AEC)

  • 2015年末 ASEAN経済共同体(AEC)発足済。
    域内関税撤廃(2018年略達成済)、貿易の円滑化、投資の自由化、サービス分野の完全自由化にはならないが、域内の他国に比べてベトナムは開放の度合いが高い。
    2025年を目標として知的所有権の保護。
  • 人・物の移動の増加(具体的になっていない)
  • 交通(海路、陸路)インフラの整備
    インドネシア 経済回廊(海路)
    東西経済回廊(陸路:ベトナム⇔ミヤンマー)
    南北経済回廊(陸路:中国⇔タイ)

TPP環太平洋連携協定への参加

参加国11ヶ国 2018年12月30日発効
当初米国がリーダー国であったがTRUMP政権はTPPより離脱
TPP参加に伴うベトナムにとって優位点と課題
貿易面:輸出市場の確保と拡大
投資面:規制の撤廃により投資の増大
*課題
外資の参入により技術移転の可能性が増大するも競争力がない中小企業の淘汰も懸念・農業問題への影響も懸念される。

TPP11

  • 日本を含む11カ国が加盟する「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)」が2018年12月30日に発効(当初米国を含め12か国であったが2017年1月米国が離脱)
  • 2018年3月加盟国11か国にて署名。加盟国11ケ国の人口は合わせて約5億人(世界の約6%)、GDP合計では、日本円にして約1,100兆円(世界全体の13%)規模の経済連携協定となっている。

さらに詳細な情報を知りたい場合は
下記よりお問い合わせください。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

サービスメニューのご案内

Bizmatchでは、ベトナムにおける戦略的なビジネスパートナーを見つけていただくための各種支援サービスをご提供しております。『ベトナムの市場を開拓したい』『ベトナム企業と商談をしてみたい』『ベトナムに取引先を見つけたい』『ベトナムの企業を買収したい』『ベトナム進出のサポートを手伝ってもらいたい』等、ベトナム企業とのマッチング実績が豊富なBizmatchに是非お気軽にご相談ください。



市川匡四郎のニュースコラム記事一覧へ戻る

カテゴリー一覧

ビジネスに役立つベトナム情報サイト
ビズマッチ

ページ上部へ戻る