豪州のプログラムによる支援で国内外9社の技術をハイテク農業へ応用
- 2021/08/14
政府や各団体・企業は、農産物の生産性・品質向上を目指し、総合的・持続的な農業開発のためのスマートテクノロジーや先進的・包括的なハイテク技術の研究・応用に取り組んできた。その中の1つである、豪州のAus4Innovationは、ベトナムのイノベーションシステムの強化に向け1,100万豪ドル(約8億9,176万円相当)を支援するスキームである。同スキームを通じて、豪州とベトナムはともに技術変革やデジタル技術における新たな分野の研究を行う。また、公共・民間組織との提携のもと、新たなモデルを試行し、ベトナムのデジタル予測やシナリオ構築を強化する。
同スキームによる豪州政府の支援のもと、オーストラリアのイノベーション団体であるBeanstalkは、ベトナムデジタル農業協会(VIDA)、青年起業サポートセンター(SYS)、MBIイノベーション社と共同で「GRAFTチャレンジ・ベトナム2021」を実施する。このプログラムは、農業技術に関する創造的なイノベーションや投資を促進するものであり、豪州外務貿易省や豪州国家科学技術研究機関(CSIRO)、ベトナム科学技術省も支援している。今年は16か国の農業技術企業から申請があり、インド、米国、インドネシア、ベトナムなど国内外の9社が選出された。選ばれた技術には、IoTを統合し養殖場の水質改善を行うシステムや、環境にやさしい微生物によって植物の健康状態を管理するシステムなど、農業分野の課題を解決する多様なものがあった。
GRAFTチャレンジ・ベトナムは開始に先立ち、栽培、水産、畜産の各部局や農産物企業と協力し、各分野で直面している課題を確認していた。その中で多かったのが、生産過程における天候のリスクや畜産での飼料費用と生産性の改善、収穫後のロスの削減、消費者からの信頼の構築であった。
GRAFTチャレンジ・ベトナム代表のJustin Ahmed(ジャスティン・アフメド)氏によれば、今年の参加企業の実力はもともと高かった期待をさらに越えているとのことで、各企業の技術を市場に導入する準備はできており、多くの農業・食品企業が直面している最も難しい課題を解決するだろうと述べた。また、Aus4Innovation代表のTom Wood(トム・ウッド)氏は、食品・農業は豪州政府がベトナムにおける開発支援で優先している分野の1つであり、選定された企業がベトナムの農業を前進させる創造的なイノベーションの波を引き起こす可能性を持っていると信じていると述べた。
GRAFTチャレンジに申請したのは大きく売上を伸ばした、もしくは伸ばしている企業や、国際的な起業促進プログラムを修了した企業である。また、選定された企業の半数近くが女性が創設した企業、または女性が経営に携わっている企業だ。今年8月から15週にわたり専門的なサポートが行われ、選ばれた9社に対し、ベトナム市場への技術導入に関して、専門家やアドバイザーによるコンサルタントや評価が行われる予定である。
ベトナムと同じく農業国である豪州のAus4Innovationのスキームでは、様々な農業支援がベトナムを対象に行われている。ベトナムでは、ハイテク農業を積極的に導入して生産性や品質の向上に取り組んでおり、豪州の支援や外国企業の技術によって新たな技術を取り入れるチャンスとなるだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
さらに詳細な情報を知りたい場合は
下記よりお問い合わせください。