持続可能性を重視した2030年、2050年までのメコンデルタ開発計画案を策定
- 2021/03/19
2017年11月17日付の、気候変動に対応したメコンデルタの持続可能な発展に関する政府決議120号(120/NQ-CP)では、2030年までの中期的開発計画および2050年までの長期的ビジョンの策定について定めている。これらの計画は、今年第2四半期に承認され、メコンデルタ地域では初の包括的な計画となる見込みだ。
2050年までの計画では「住民が豊かな生活が送れ、訪れる価値のある地域」という地域内外2方向の視点からビジョンが示された。また、2030年までの計画では、必要不可欠なインフラの開発・整備に注力するとされている。
これまで、メコンデルタ地域に関して数百に及ぶ計画が策定されてきたが、縦割りで実施されてきたため効果は低く、生態系に深刻な影響を与える開発が進められてきた。加えて、インフラ・労働者・出稼ぎ・社会保障などの問題も山積しており、今後、近隣省、とりわけホーチミン市に対しサービス提供する中でさらなる課題が発生すると懸念されている。
これを受けて、政府決議120号では、課題解決のために分野・省・地域を越えて連携し、メコンデルタ地域の優位性や可能性を最大限活かすこと、また、気候変動の問題に対応し持続可能な開発を進めることの必要性が示されたのである。
2050年のビジョンでは、水資源管理や気候変動・海面上昇への対応など、外的要因による問題を含む課題の解決が掲げられた。また、包括的なインフラ整備や、進学率向上による長期的な成長を見据えた人材育成を進めることで価値を創出する。
また、2030年までの計画について計画投資省のチャン・クオック・フオン大臣は、持続可能な農業経済の中心地として開発を進め、水産・果樹栽培・稲作を中心にバリューチェーンを構築すると述べ、農業経済を支える加工業などの工業分野を成長させるとともに、自然や文化を活かした観光業の開発を進めるとした。
加えて、情報インフラの構築や、多様な生態系など既存の環境を活かすことで、GDPの5%~30%を占めると期待される再生可能エネルギーやデジタル経済、グリーン経済などを実現し、住民の生活水準の向上や文化・民族の保護を図る。
2030年までの中期計画ではインフラ開発に注力
フオン大臣によると、2030年までの計画ではインフラ開発への投資に重点が置かれ、特に教育、医療インフラなど社会インフラの開発が進められるとのことだ。
また、ホーチミン市を結ぶ高速道路や水運、鉄道の開発も強化し、経済の中心地である同市との経済的な結びつきを強める。加えて、灌漑施設の整備により乾季中でも安定した水供給を行い、近隣各省の水不足を解消することも計画に掲げられている。
2030年までの指針として定められた持続可能な開発目標(SDGs)も残り10年を切った。これまで環境汚染が問題となっていたベトナムだが、今後、環境に配慮した持続可能な経済成長を目指す方針にシフトしていく姿勢が今回の中長期計画の制定から読み取れる。
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