日本産農林水産物の輸入、ベトナムが世界第5位に
- 2021/04/23
これまで日本企業の生産拠点として考えられていたベトナムは、重要な消費市場としても位置づけられるようになった。日本の財務省によると、2020年の農林水産物・食料品分野における日本からベトナムへの輸出額は、前年比17%増の534億円で過去最高を記録し、世界第5位となった。
ジェトロ(JETRO)ベトナム・ホーチミン事務所の比良井 慎司所長は、4月15日、ベトナムにおける日本企業の傾向について、これまではベトナムに投資を行う日本企業の40%が生産工場を設立していたが、近年では20%に減少し、ベトナム市場の急増する購買力を活かすことができる小売・サービス分野へ投資が移行していると発表した。この傾向は、ECサイトの発達でさらに顕著となり、日本の商品がベトナム人消費者の手に届きやすくなっている。
コロナ禍で海外に対する日本製品の供給が滞ってしまったことを受け、ジェトロは今年の初めにオンラインプラットホームである「Japan Street(ジャパンストリート)」を開始し、ベトナム市場でも日本製品の流通が促進された。Japan Streetにはすでに500社以上が登録しており、今後もその数は増加が見込まれている。とりわけ、海外におけるEC販売プロジェクトである「Japan Mall(ジャパンモール)」では、多くの商品がベトナムの消費者向けに掲載されている。比良井所長はECサイトを活用し、Japan Mall事業でベトナムにおける日本製品の供給を引き続き拡大していくと述べた。
投資傾向が変化しても、ベトナムは農林水産物の分野で5番目に大きな輸出先となり、海外展開を進める日本企業にとって重要な役割を果たしている。比良井所長は「日本製品のベトナムへの輸出額は年17%増加しており、増加率は世界でも10位以内に入ります。日本にとってベトナムは大変重要な消費市場です。」と述べた。
興味深いことに、新型コロナでステイホームが広まり日本製品の購入が大きく拡大した。統計によると、価格は前年より低くなったものの、売上額は5%伸びている。比良井所長は、「多くの商品はそれほど必要不可欠なものではなく、高額ではありますが売れ行きは伸びています。このことは、ベトナム市場が日本企業にとって生産場所であるだけではなく、伸びしろの多い消費市場であることを表しています。しかし、市場に適した価格設定に向け、いくつか課題を解決しなければいけません。」と見解を述べた。
日本製品はベトナム製品に比べ高額な商品が多く、ターゲットは高所得者層が中心となっているが、今後、収入向上が見込まれるベトナムでは、さらなる市場拡大が期待できる。ECサイトの充実も追い風となるだろう。(ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀)
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