創業5年、板金加工・配電盤製造を得意とする金属加工業/フィテックベトナム株式会社

 金属加工というと、私の年代の人たちは中学校で文ちん製作を学習した人が多いのではなかろうか。金属の角棒とつまみとなる丸棒を渡され、旋盤やボール盤を使って切削加工やねじ切り、ヤスリを用いて仕上げをした記憶がある。
 私は工作そのものは嫌いでなかったので、夢中になって取り組んだ。旋盤を使って丸棒を切削すると、あの硬い金属が面白いように思い通りに削られていく。ネジを切って、オスメスとがぴたりと合い、文ちんの本体とつまみとが一体となった時の達成感は「ものづくり」の楽しさを味わった瞬間だった。
 父は電気通信関係の仕事をしていたので、息子には理数系に進んで欲しかったようだが、数学や物理学の成績が悪く、興味もなかったので、大学進学にあたってはかろうじて成績の良かった語学を専攻した。
 製造工場の工場見学ともなると、工作好きだった少年の心が騒ぐ。特に最新鋭のコンピュータ数値制御(CNC)の工作機械を操作する工場労働者の姿や機械の動きなどを見るたび、なぜ自分は製造業の世界に進まなかったのだろうと後悔するほどだ。
 今回ご紹介するベトナム企業は金属加工業、フィテック社だ。同社は家電製品等の金属筐体やシャーシ、ロッカー、配電盤などの板金などの委託加工を得意とする金属加工メーカーだ。同社プロジェクト部長のグエン・ハック・バン氏にお話をうかがった。今回の取材はZOOMによるオンライン取材なので、工場そのものを直接目にすることができないのが残念だ。

 フィテックベトナム株式会社はハノイの中心地から車で1時間、ハノイの隣の省、バクニン省のイエンフォン工業団地にある。バクニン省にはキヤノンをはじめ、日系企業も多数進出している。バクニン省はハノイの隣の省であり、地の利もある。家具や版画といった伝統工芸を得意とする村が古くから数多く存在する土地柄でもあり、産業の発展の素地が備わっている地域だともいえよう。
 同社は2017年に会社を設立、まだ新しい企業だ。創業者は現在社長を務めるグエン・ティエン・ソン。彼は基盤実装、ワイヤーハーネスを製造する日系企業に13年間勤めあげた経験があり、その経験をもとに工場経営をはじめたそうだ。
 同社は家庭電化製品の筐体、シャーシ各種やロッカー、配電盤用のケースの板金加工、タレットパンチプレスによる部品製造、配電盤の製造販売、粉体塗装やアルミアノード処理など、幅広い製品分野を持っている。

 金属加工には、主に刃物状または砥石を用いて不必要な部分を除去することで形をつくる機械加工、カッターやハンマー、金型を押し当てたりしてカット、成形する塑性加工(プレス加工・鍛造)、そして原料となる金属を炉で溶かし、鋳型に流し込んで成形する鋳造という方法がある。
 同社はそのうち、塑性加工を得意とする金属加工メーカーであると言えよう。
 板金加工にはバイストロニク社(スイス)のレーザーカッティングマシン、コマツ工機や東洋工機のベンディングマシン、アマダのパンチマシン、プレスマシンなど、いずれも最新鋭の板金加工、プレス機械を取り揃えてある。
 従業員数は120名、6200平米もの敷地に資本金530万米ドルの企業である。
 主な顧客にサムソンの家電部門やベトナムの家電メーカーであるカンガルーなどだ。同社は既に他社を通じて米国や日本に自社製品を輸出した実績もある。
 同社のもう一つの得意分野はビルや工場などには欠かせない、中低圧配電盤、分電盤、制御盤や変電設備類の製造販売だ。変電設備の設計、施工も行うことができる技術陣を備えており、電源ケーブルを取り回すためのトレイやラダーも供給することができる一貫性を備えている。
 また同社の2021年の売上は1000億ベトナムドン(約416万米ドル)を確保できたという。コロナ禍で長期のロックダウンが実施された時には、工場内に労働者を寝泊まりさせ、飲食を共にし、生産を維持した。コロナ対応のためのコストは多少増えたものの、生産を維持し、売上を大きく減らすことはなかったそうだ。コロナ禍でも後ろ向きにならない企業の姿を示すことができたことは今後の同社の自信と信用に繋がるに違いない。
 

 今回話を伺ったバン氏に日本を訪れたことがあるかと尋ねると、残念ながらまだ日本に行く機会はなかったというものの、日本の国とその人々には強い印象を持っているようだ。日本人は強い意志と決意の高さがあり、まさしくサムライの国。小国でありながら世界でも2位、3位の経済力をもつ国として見習うところが多い国だと認識していると語ってくれた。
 日系企業からの受注、特に板金加工などの注文を受けられるように願っているとバン氏。読者の中から同社に興味を持った方がおられたら同社にコンタクトされることをお勧めする。
 同社もまた日系企業で学んだ工場経営の基本をもとにベトナムで着実に成長する新しい企業。日本の経済成長のバトンを受け取って、ベトナムの企業がコロナにも負けず、さらに成長を遂げていくであろう。

文=新妻東一

グエン・ハック・バン/プロジェクト部長

フィテックベトナム株式会社
FITEK VIETNAM JOINT STOCK COMPANY

プロフィール

2017年、バクニン省イエンフォン工業団地に設立。創業者はグエン・ティエン・ソン。従業員120名。主に板金、精密機械の設計・加工、粉体塗装加工、アルミニウム表面処理、配電盤の製造・販売。日本向け・日系企業向けの委託加工受注を希望。

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