Bizmatchベトナム企業インタビュー第1回:【農産物輸出専門商社】Hanfimex/フン・ヴァン・サム

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【農産物輸出専門商社】Hanfimex

【農産物輸出専門商社】Hanfimex/フン・ヴァン・サムインタビュー

〜世界で最も厳しい日本市場向けにカシューナッツの輸出を目指す

 ベトナムの農産品は意外な商品で世界でも有数の生産量を誇っている。例えばコーヒー。2019年には168万トンを生産し、ブラジルの300万トンに次いで世界第2位の生産量だ。コショウではエチオピアの37万トンに次いでベトナムは26万トンとこれも第2位の地位をしめている。カシューナッツ(殻付き)では28万トンと世界第3位に位置している。ベトナムは世界有数の農業国なのである。(いずれも出典は国連食糧農業機構FAO、2019年統計)

 そのカシューナッツの輸出でベトナムの五指に入るというHanfimexを取り上げる。ハノイ市内VTCオンラインビルという、ハイテク企業の多くが事務所を構えるオフィスビルにHanfimexのオフィスはある。同社はカシューナッツ、コショウ、桂皮などベトナムの農産品を世界に輸出する農産品輸出専門商社である。

Hanfimexのカシューナッツ、コショウ、桂皮

 今回はコロナ禍ということもあり、取材はZOOMを用いて行った。社長のフン・ヴァン・サムは「Hanfimexグループ」というロゴの入った、落ち着いた色の木目調の壁を背にして画面の向こうに現れた。銀縁の眼鏡をかけ、シルバーグレイのスーツに身を包んでいる。そしてにこやかに記者である私を迎えてくれた。

 サムは1978年ベトナム北部のニンビン省に生まれた。ニンビン省は10世紀半ばに十二使君(土豪)の一人ディン・ティエン・ホアンがトンキン平野北部を平定し、ホアルーに都を定めたダイコーベト国を興した場所だ。都のあったホアルーは現在もハノイ近郊の観光地の一つとして人気がある。また、小舟に乗って「陸のハロン」とも言われる、石灰岩によって形作られた山々や鍾乳洞を楽しむ観光地であるチャンアンやタムコックも抱え、景勝地としても知られている。

 サムの父親は地方の公務員で、農業振興委員を務めていた。長じてからサムはハノイの大学で経営学を学び、卒業後はあるベトナム国営企業に入社し、そこで農産品輸出に関わることになった。サムはそこでベトナムの農産物がベトナム経済の優位な点にあること、しかし世界の市場ではベトナムの農産物はあまりよく知られていないことから、農産品の輸出ビジネスに大きな可能性があることを感じとり、また農産品輸出ビジネスの楽しさにハマってしまったのだという。

 勤めていた国営企業が株式会社化するにあたり、農産品の輸出事業を取りやめることになり、サムは思い切って独立し、2013年Hanfimex社を設立した。サム35歳の年だ。

ビンフォック省にあるHanfimex社の最新工場

 彼はベトナムの農産品の中でも、カシューナッツ、コショウ、桂皮など、農産物であっても比較的価値の高い商品を扱っている。カシューナッツの生産においてはベトナムの中でも同商品の最大の産地である南部ビンフォック省に1500haの有機栽培農場を有し、2020年には6番目の最新工場を同地に建設した。

 同社の売り上げは2021年1月から現在まで8千万米ドル(約91億円)、従業員数は430名だ。主な輸出先は欧州、中近東諸国、アジア各国と50以上の国と取引があるという。

 輸出に際しては当然様々な認証を受けなければ農産物は輸出ができないため、同社では各種認証の取得には積極的だ。主なものでは米国農務省のオーガニック認証であるUSDAオーガニック、英国リテールコンソーシアムの食品認証であるBRC Food、HACCPなどを取得している。将来は日本農林規格JASの取得をも目指しているという。

 同社は6つのF、すなわちFresh Farm、Fine Factory、Fine Foodsを掲げている。農場からは新鮮かつ安全な素材を仕入れ、優れた工場で、申し分のない食品を世界98億人に届けようとの意気込みだそうだ。

Hanfimex社の品質管理

 コロナ禍では同社も困難をかかえている。一つは世界的なコンテナ不足による海上運賃の高騰だ。従来の海上運賃がコロナ感染が拡大する以前の、実に3倍も運賃が値上がりしているという。

 二つ目はベトナムにおけるコロナ感染予防のための様々な措置による工場生産の制限が行われたために製造が遅れ、顧客に約束した納期遅れが発生してしまっているという。

 またカシューナッツの世界的な需要が増加しているため、ベトナム産の原料では間に合わず、アフリカやカンボジアからの原料輸入も増加しているようだが、同社では自社の農場を有しているために、それほど深刻な原料不足には陥っていないようだ。

 日本市場向けにはこれまで実績はあまりないようだが、特にカシューナッツに関しては対日輸出を早めに実現したいと語るサム。日本は品質について大変厳しい市場だが、その厳しい市場に挑戦してこそ自社の商品の品質も高めることができるとの確信を持っている。だから是非とも日本の良いバイヤーと巡り合いたいという。

 現在、Hanfimexはカシューナッツにおいてはベトナムの農産物輸出企業のうち評判の良い企業としてトップ5、コショウにおいてはトップ10に数えられているが、、売上も現在8千万米ドルに過ぎないが、いずれ早いうちに5億米ドルを超え、ベトナムにおいては「ナンバーワン」企業になることを目指すとサムは目を輝かせた。

Hanfimex Group

 サムに「今のビジネスがお好きなんですね?」と尋ねると「まさにđam mêです」と答えが返ってきた。đam mêとは日本語的に訳せば「中毒」とか「オタク」とでも訳すべき言葉だが、彼のビジネスに対する意欲的な態度にはまさに相応しい言葉だろう。

 最後にご家族はと尋ねると、サムには3人の子どもがいて、14歳の女の子を筆頭にして一男二女の父親出そうだ。コロナの制限がなくなったら、ぜひ本社に来て取材してくださいとお誘いをいただいた。まだ若干44歳の経営者。自らの夢を叶えた暁には再び取材をお願いしたい。

文=新妻東一

【農産物輸出専門商社】Hanfimex/フン・ヴァン・サム

Hanfimex Group
ベトナムハンフィメックスグループ株式会社

プロフィール

2013年7月22日設立。代表者はPHUNG VAN SAM(フン・ヴァン・サム)。カシューナッツ、胡椒(コショウ)、コーヒー豆、桂皮(シナモン)などベトナムの主要農産物の製造・販売事業を展開。

https://hanfimex.com/

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