包装印刷企業グループ内の不織布製造メーカー、小売業のみならず医療・農業資材も手がける/ナムクオンハノイ株式会社

 この過去2年間のコロナ騒動で毎日たいへんお世話になった商品がある。それは不織布マスクだ。布マスクやウレタンマスクなどもおしゃれ感もあって、当初は不織布マスクでないものも用いられたが、自らが感染していた場合にウイルスをまきちらさない効果は不織布マスクがもっとも高いとあって、多くの人が布製やウレタン製の不織布マスクをするようになった。私も毎日新しいものをつけている。
 通常、布は織機で織ったり、編機で編んだりして作る。しかし不織布は文字通り織らずに、繊維そのものを接着剤などを用いて結合させて、つくられた布だ。1950年代にドイツやアメリカで研究がすすみ、実用化され、最近では用途が多様化、特に使い捨てのレジ袋から何度も使えるエコバッグへの転換の中で不織布のショッピングバッグを採用する小売店が増えてきたことも不織布の普及に一役かっているようだ。
 今回ご紹介するのは不織布メーカー、ナムクオンハノイ社。同社の営業部長、フォン・リン・ジェップ氏にZOOMを通じてオンラインでインタビューした。

 ナムクオンハノイ株式会社は2015年、ハノイのお隣、日系企業の工場進出も著しいフンイエン省に2015年設立された。実は同社には兄弟会社がある。クォックアイン包装・商事株式会社とアインドゥック包装・商事株式会社だ。
 クォックアイン社は1995年設立、主にプラスチック包装を得意とし、アインドゥック社は2002年設立で主に紙の包装を取り扱っている。ナムクォン社はこれら2社の同一のオーナーがこれから不織布の需要が増えるであろうことを見越して7年前にM&Aによって不織布製造工場を買収し、立ち上げたそうだ。
 同社の現在の従業員数は150名、昨年2021年の売上は350万ドル。国内販売が全体の70%、輸出は30%で、主な輸出国は米国、日本、韓国だ。
 同社の主な製品は不織布だが、その製品用途は多岐にわたっている。まずは不織布マスク、医師や看護師が手術で使用する使い捨ての手術着などの医療用にはじまり、農業用の防虫ネットや果物を覆う袋、ショッピングバッグなどだ。同社は印刷機も備えているので、不織布に印刷を施すことも可能だ。ショッピングバッグなどに社名やロゴを印刷することもできる。
 対日向け輸出ではこのショッピングバッグがメインだ。不織布のバッグで、ちょっとおしゃれなロゴが入っていれば、家に持ち帰った後もゴミ箱行きにはならず、複数回使用することも可能だからだろう、ベトナムでもファッションショップなどの紙袋は皆不織布バッグに置き換わっている。消費者も使い捨てすることに抵抗があるので、ショップ側の環境に対する配慮を示すことができる。
 不織布バッグは織機で織った布に比べて強度は劣るものの、織布工程がないため大量生産が可能でコストも安く、素材を化学繊維などにすればさまざまな色に染めることができ、発色がよいのも特徴だ。紙バッグに比べて不織布バッグは破れることもなく、また雨や湿気に強いことも不織布バッグが選ばれている理由だ。

 医療の分野では感染予防とコストの面からディスポーザブル(使い捨て可能)な医療器具、装具、コスチュームが好まれるようになっている。特にコロナ感染の拡大によって感染者に対して治療を行う医療従事者を防護するための防護服にも、この不織布が使用されている。ほかにも治療を行う際に用いるドレープやガウンにも不織布は欠かせない。同社は医療用の用途にも不織布を生産し、加工業者に提供している。
 農業の分野にもいまや不織布が欠かせなくなっている。ナムクォン社は農業用資材としても不織布を供給している。農業において不織布は栽培している野菜などに直接上から、あるいはワイヤーでトンネルをつくり、その上からかけることで、保温、保湿によって野菜の生育もよくなるし、防虫・防霜効果もある。従来のポリエチレンのフィルムでは水やりの際にフィルムを剥がす作業が必要だったが、不織布なら水を通すので、不織布の被覆の上から直接水をかけることができる点も農業者にとってのメリットだろう。雨の多いベトナムの中部高原ではフィルムの被覆材が好まれるとのことだが、主に不織布の農業被覆材はベトナム北部でよく売れるそうだ。
 くだものの果実を虫から守るために使用されているのが不織布の果実袋だ。同社はこの果実袋も供給することができる。従来は紙が使用されていた分野の商品も、その通気性や雨・湿気に強い点を活かして、不織布におきかわっている。
 この他、家具のソファーや自動車の内装などにも不織布は欠かせないという。
 一定の強度をもち、その上に柔らかく、おまけにコストが安いときては、従来、布や紙を用いていたものが不織布に置き換わる可能性がある。同社営業のジェップ氏によれば、不織布は織物の生地に比べて50%のコストでできるとのこと、不織布ビジネスの将来は明るいのだ。

 営業部長のジェップ氏は海外にも営業のために頻繁に海外にも訪れているようだ。ドイツや中国などの得意先まわりにも出かけるという。残念なことに日本はまだ訪れたことがないとのことだが、日本との取引についての印象や難しさを尋ねてみた。
 彼女は日本の取引先はどこもとても熱心で、品質や仕様などの要求も細かく、数字も明確に示してくれる。もちろん品質要求に厳しさもあるが、同時に問題点があれば、それを改善するための方法を一緒に考えてくれるし、熱心に技術指導もする。問題があるからといってすぐに他企業に「浮気」するようなことがない、我々のような取引先に誠実であることが日本企業の特徴だと話してくれた。

 プラスチック、紙、不織布と異なる素材と印刷に対応可能な包装メーカーであるハノイ・ナムクォン社グループ。ベトナムに進出している日系の製造業のみならず、日本への輸出にも対応している同社を包装材を提供するパートナーとして検討してみてはいかがだろうか。

文=新妻東一

ナムクオンハノイ株式会社
代表取締役会長 ヴー・ディン・ドゥック

1995年創業のプラスチック包装印刷業クォックアイン社、2002年紙包装印刷業のアインドゥック社の兄弟会社として2015年に創立された不織布メーカー。ショッピングバックのほか、マスク、ガウン、ドレープなど医療用不織布、農業資材としての不織布も手がける。

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