道徳と才能を兼ね備えた従業員・幹部の育成につとめ、日本の経営に学びTQCを実践/ハノイ包装生産・輸出入株式会社(HANOPACO)

 ベトナムがまだ政府丸抱えの計画経済の時代にものは配給制で手に入れるものであり、自由市場ができてもものはむき出しのまま売られ、包装といえば新聞紙で商品をくるまれていればよい方だった。
 そのベトナムも市場経済を取り入れ、市場ではなくスーパーマーケットで商品を購入する時代になると、商品の包装、パッケージは急速に発展し、形もよく美しいものに変わっていった。
 商品そのものの輸送、保管のためのみならず、美しくデザインされた包装、パッケージは包装された中身を想像させ、消費者に手に取ってもらえるようアピールし、マーケティング、販売促進の役割すら担っている。
 今回のベトナム企業インタビューで紹介するのは、ハノイ市にある包装、中でも紙箱のパッケージを専業とするHANOPACO社だ。お話を伺ったのは同社の副会長兼副社長であるチャン・ティ・ロアン氏。なお、このインタビューはZOOMを使用したオンラインでの取材であることをお断りしておく。

 ハノイ 包装生産・輸出入株式会社、略称HANOPACO社は2003年ハノイ 市郊外に設立された。創業者はファム・タン・トアン、今も代表取締役社長を務めている。
 同社は食品、医薬品、医療機器、電子機器と言った包装としても衛生面に気を使わなければならない紙製パッケージに強みのある包装製造会社だ。
 従業員数は正社員200名だが期間工も合わせると500名規模の工場になるという。
 年間生産量は医薬品用包装で3億個、菓子・酒類用包装で1.8千万個、その他包装で8千万個。コンスタントに製品を製造して顧客に供給している。2017年からは5年間連続して対前年比で20%以上の売上増を達成している。
 主な顧客としてはベトナムの大手食品菓子メーカー、製薬メーカー、日本のテルモをはじめとする国内外の医療機器メーカーや、リコーなどの電子機器メーカーにパッケージを供給している。

 副社長のロアン氏は2017年、勤めていた銀行を辞めて同社に入社、2018年には同社の株式も購入して取締役のひとりとなった。
 ロアン氏になぜ紙の包装に特化した包装製造会社に転職したのかとの問いには「会社の創業者が明確なビジョンを有しており、業界の将来性もあると判断して同社に加わった」と語る。
 プラスチック包装の製造を行なっていない理由としては、紙とプラスチックへの印刷技術、装置はまったく異なるもので、紙の印刷ができたからといって、プラスチックの包装に印刷ができるわけではない、何よりプラスチック包装は環境への負荷がかかる、あえて紙という自然に優しい包装、パッケージにこだわっているのだという。
 同社の設備だが、紙包装の品質を決定する印刷機はすべてドイツのマンローランド社の印刷機、それも700シリーズの最新鋭機を導入している。
 著者はかつてベトナムに印刷機を販売していたことがある。ベトナムの印刷会社はハイデルベルクやマンローランドなどのドイツ製の印刷機が欲しいのだが、高価で手が届かない、手頃な価格の日本製を買うのだ、とよく言われたものだ。心の中ではメルセデスベンツやポルシェをほしいと望んでいる客にトヨタやホンダ車を売り込むような気分だった。
 マンローランド社の印刷機は紙箱に使用するような厚紙にも精度高く印刷ができることで知られ、日本でも根強い人気のある機械だ。

 打ち抜き機やラミネート機、糊付け機などは中国製、台湾製のコストの安い設備で妥協している点も現実的な選択だ。これらの機械ではそれだけ大陸中国の技術力が追いついていると言っていいのだろう。
 同社の得意分野は医薬品、食品用の紙包装だ。だからこそ、包装材であっても、医薬品、食品製造メーカー並みの品質管理が顧客から求められる。
 同社は国際標準化機構の定める品質マネジメント・システム(ISO9001:2015)、環境マネジメント・システム(ISO14001:2015)の認証取得は当然として、紙の包装を専業とするだけあり、森林管理協議会(FSC)の認証をも取得している。このFSC認証は適切に管理された森から切り出された原材料を使用していることを示し、同社が持続可能な森林活用・保全に努めていることを保証するものだ。
 加えて同社は本年、消費者に安全な食品を提供することを目的にした食品安全マネジメント・システム認証規格FSSC22000を取得した。同規格は本来食品製造メーカーに求められるものだが、最近では食品包材メーカーにも求められるようになりつつある。ロアン氏は「当社はハノイ にある包装製造会社としては初めて、本規格の取得に成功した」と胸をはった。
 同規格の取得により医薬品メーカーや食品メーカーは今まで以上に安心してHANOPACO社に注文ができるであろう。

 ロアン氏は自分の性格は日本人の性格に似ていると笑う。「たゆまぬカイゼンのために当社はトータル・クオリティ・コントロール(TQC)も導入し、QCサークルも開催、月に従業員ひとりにつき1つのテーマを考えてもらい、その解決にあたらせています」と語る。
 インタビューの際にロアン氏も強調した、同社が掲げるコアバリューにこうある。
 『「心」と「信」の二字を競争の武器に。徳と才、その二つを兼ね備えた従業員チームを築く』
 君子たるもの、徳(道徳)と才(才能)を兼ね備えた人物でなければならないと教えているのは、日本でも処世訓の書として有名な中国の古典、洪自誠「菜根譚」にもある。ベトナム建国の父・ホーチミン主席が党幹部に向けた言葉でもある。
 日本の企業に学び、中国の古典やホーおじさんの言葉にも学ぶ同社は、ベトナムで紙包装では誰にも負けないトップ企業に成長するとの野心を持っている。
 ベトナムに進出した日系企業で、紙包装を検討するのであれば、ぜひ同社へ相談するべきであろう。

文=新妻東一

副社長 レー・ティ・ロアン

ハノイ包装生産・輸出入株式会社
Hanoi Packaging Production and Import – Export Company Limited

プロフィール

2000年ハノイに創業。創業者はファム・タン・トアン。従業員正社員は200名。主な製品は医薬品、菓子、医療用具、電子製品などの包装製品の印刷・製造販売。年間3.2億個の生産量を誇る。ドイツ製印刷機を備え、食品製造企業に求められる品質管理規格を取得した紙の包材メーカー。

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