失われた王国・チャンパ遺跡、家康が求めた香木の産地、そして養殖ワニ肉を食べるビーチリゾート/ニャチャン

 ニャチャンといえば白い砂の浜辺、青い海のビーチリゾートとして有名です。海水浴もよし、ビーチのレストランやバーでのんびり過ごすのもよし、家族連れでもカップルでも楽しめるリゾートです。海岸通り沿いにはシェラトンやインターコンチネンタルといった高級ホテルから格安のミニホテルまでよりどりみどり。アダルトなムードが味わいたい方にはメインストリートから離れた場所にあるプライベートビーチのあるリゾートホテルに泊まることをお勧めいたします。

 私はニャチャンに何度も訪れているにもかかわらず、プライベートの休暇を過ごしたことが一度もない場所でもあります。家族連れで訪れたいと思いつつも果たせていないので、ここはウェブ誌上観光を私も楽しむつもりで、今回の記事を書きました。

ニャチャンは家族連れから大人カップルまで楽しめるビーチリゾート

 ニャチャンは年間を通して天候のよい日が多いことで知られています。台風がくることもめったになく、雨季であっても降水量はそれほど多くはありません。乾季は1月から9月、雨季は10月から12月が雨季といわれています。11月ともなると寒い日が多くなり、海水浴ができなくなる日もありますが、欧米のお客様は海水浴をされる方もいます。11月から2月にかけては海水浴ができないほど寒くなることがありますので、ニャチャンで海水浴を楽しみたい方は3月から9月にかけてニャチャンを訪れましょう。

 お子様連れの方はVinWondersというアミューズメント施設が併設されているVinpearl Resort Nha Trangがお勧めです。同リゾートはホンチェー島というニャチャン湾に浮かぶ島にあり、ニャチャン市街からは専用のロープウェイで海を渡ります。

 リゾートには海とプールが隣接しており、またアミューズメント施設にはジェットコースターやフリーフォールといった絶叫マシーンや家族連れで楽しめる観覧車、日本庭園、熱帯植物園3Dマッピングに150名ものダンサーが踊るタタ・ショーなどがあり、一日中楽しめる施設が整っています。

 家族連れでもない、カップルや友達同士で、アミューズメントより街歩きが楽しいという向きには海岸通り沿いにあるホテルに宿をとり、日中は目の前のビーチで海水浴を楽しみ、夜は街やビーチに繰り出して、ビールやカクテルを楽しむのもよいでしょう。

97人もの夫をもち、38人の女子をもうけた女神を祀るポ・ナガール塔

 2世紀から17世紀末まで現在のベトナム中・南部に存在したマレー・ポリネシア語族チャム族の国、チャンパ。中国の史書には林邑、環王、占城と記されている国です。彼らは諸外国との中継貿易で繁栄を築きました。北はベト族と勢力を争いつつ、中国からの侵略には共同でたち向かうこともありました。南はクメール族の国とも侵略と抗争を繰り返した歴史を持ちました。

 そのチャンパの遺跡が市の中心部から2kmの小さな丘にあります。ポ・ナガール塔という名前で知られている遺跡です。最も高い塔は23mもあり、ニャチャン観光の目玉の一つでもあります。

 遺跡は8世紀から13世紀の間に造られたものとされています。ヒンズー教の影響を色濃くあらわれています。この遺跡はチャンパの伝説の女王であったポー・イナ・ナガールを祀った塔です。ポー・イナ・ナガール女王は空の雲と海綿から大地と沈香(線香や香道に用いる香木)や樹木、コメを作り出し、チャンパ王国の基礎を築き、97人もの男性を夫とし、38人の女の子を産んだとされています。

 建物はもとは3つのエリアに別れていましたが、現在残されているのはマンダパと呼ばれる「前庭」と「塔祠」の3つのエリアのみです。

 前庭には4列、22の柱が立っています。拝礼の準備のためのエリアであると推測されており、かつては竹で作られた屋根があったものと思われます。

 塔の祠があるエリアには元々6つの塔が建っていましたが、そのうち2つは破壊され、土台だけが残っています。4つの塔はそれぞれ、東北塔、南塔、西北塔、東南塔と名付けられています。東北塔は高さ23m、9世紀に建設され、11世紀に修復がされています。塔の内部にはポー・イナ・ナガールとシバ神の妻、ウマの像が祀られています。南塔には創造と破壊の神シバが、西北塔には幸運、知識、幸せの象徴であるガネーシャが、東南塔には力と戦争の神、スカンダがそれぞれ祀られています。

 ニャチャンを訪れた際にこのチャンパの遺跡、ポ・ナガール塔を訪ねて昔日の王国のありし日の繁栄に思い巡らしてはいかがでしょうか。

家康も求めた最高級香木、沈香の産地、ニャチャン

 沈香。この字をみて、それがなにかを知っている人は少ないかもしれません。しかし多くの人はその香りを知っています。沈香(じんこう)とは仏壇や葬儀のさいに薫かれる線香の匂いの原料である香木のことです。

 沈香はジンチョウゲ科の常緑樹で、インドから東南アジアに広く分布しています。樹幹に真菌が侵入し、その菌糸に対抗して分泌された成分が香料となります。ポ・ナガール塔に祭られた女神ポー・イヌ・ナガールがもたらしたとされている沈香、実はベトナム・カインホア省のニャチャン近郊は沈香の産地として古くから知られています。

 時は日本の桃山時代。日本では茶道とともに香道も盛んにおこなわれていました。香道とは香をたいてその匂いを鑑賞する芸道​​で、徳川家康も香道に執着し、香木の収集を行っていました。彼が豪商や大名に朱印状を発行して東南アジア諸国に求めたものの一つには、この香木、沈香がありました。家康は東南アジア各国の国主宛に親書をしたため、香木の贈与をもとめました。

 なかでも最高級品は伽羅(きゃら)ベトナム語では Kỳ Nam(キイナム)と呼ばれ、その多くは占城、つまりチャンパからもたらされたとされています。沈香の木は十分に生育するまでに約20年、沈香となるまでに50年、良質な伽羅となるためにさらに100年から150年かかると言われています。沈香ができあがる過程はいまだに解明されておらず、人工的な生成は不可能で、それゆえに今も貴重なものとしてあつかわれています。現在ワシントン条約によって沈香は乱獲が禁止され、ベトナム政府も天然の沈香の開拓には制限を与えています。

 この最高級品である伽羅は家康を祀る静岡の久能山東照宮に、渋好みの家康らしい香道具とともに今も保管されています。

 ニャチャン市内には沈香のお店もありますんで、アロマなどに興味がある方はこの香りをお土産として買い求めてもよいでしょう。

ワニを養殖、ワニ皮をとり、ワニ肉をレストランに卸すKHATOCO社

 ニャチャン市内の海岸通り沿いに歩くと、レストランの店先で長いなにものかの肉が火に炙られているのを見かけます。なにかと思ってよく見ると、それはワニ!皮をそがれ、頭だけに皮が残り、それがワニとわかります。多少あわれを誘う姿ですが、こんがりと焼かれておいしそうです。

 ワニ肉は低脂肪だけど、高タンパク、低カロリーとヘルシーなお料理に数えられています。実際食べてみると、鶏肉のようにあっさりしていて、臭みもなく、おいしく食べることができます。

 実は、ニャチャンのあるカインホア省には有名なワニの養殖場があり、ワニ皮が生産し、ワニの肉も国内に卸し、輸出する会社があるのです。

 その会社の社名はKHATOCO社。1983年創立、主にタバコを生産する企業でしたが、現在は18社もの子会社を有する大企業に発展、旅行、縫製・ファッション、梱包印刷などを展開しています。2003年にはワニの養殖を開始、そのなめし革からスーツケース、ハンドバック、財布などを生産して販売、ワニの肉も国内外に販売するようになり、いまやベトナム全国区の企業として活躍しています。同社はダチョウの皮と肉も生産し、オーストリッチの高級皮を欧州や北米、東アジア諸国に供給しています。

 ベトナム南部にはかつて野生のワニが多数生息し、ホーチミン市の海に近いカンザーのマングローブ林にもワニがいました。ベトナム戦争中のゲリラたちがマングローブのジャングルに紛れ、敵から隠れる際に水にもぐるとたちまちワニに襲われてしまうこともあった、弾丸にあたって死ぬよりもワニに食べられてしまったゲリラの方が多かった、という嘘のような本当の話を耳にしたことがあります。

 ニャチャンを訪れることがあったら、ぜひ海岸通り沿いの養殖ワニの肉を試してみてください。

文=新妻東一

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