日本語のできるスタッフを抱え、日系オートバイ会社に部品を供給、輸出にも積極的/フォーエン機械株式会社(FOMECO)

 日本の企業が海外の取引先と取引をするにあたって問題になるのは言葉の問題ではなかろうか。相手企業とコミュニケーションを取る上でも英語は最低必要になるだろう。

 相手先企業にもし日本語を話すことができるスタッフがいる、あるいは企業代表自ら日本語ができたら、海外取引のハードルはひとつ低くなるに違いない。

 海外企業の担当者が日本へ留学した、あるいは就労経験があり、言葉だけでなく日本の文化、習慣をも理解してくれているのであればなおさらだ。

 今回ご紹介する鍛造切削から熱処理、表面加工まで一貫して機械部品を製造するFOMECO社には日本語を話せるベトナム人スタッフが5名、日本人もひとり雇い、営業にあたらせているという。

 この「ベトナム企業インタビュー」では通常ライターの私がベトナム語で取材をするのだが、今回の取材にあたっては二人の日本語ができる同社スタッフが日本語での取材に応じてくれた。なお、いつものようにこの取材はZOOMによるリモート取材であることをお断りしておく。

 同社の正式名称はフォーエン機械株式会社、1974年ベトナム北部タイグエン省に国営企業として創業したボールベアリング工場を前身とする企業だ。

 ハノイから約50kmにあるタイグエン省には現在サムスンの携帯電話工場があるので有名だが、それ以前は鉱物資源が豊富に産出することで知られている。

 同省では石炭、鉄鉱、スズ、タングステン、石灰石などが採掘されている。少量ながらも金や大理石も産出する。特に鉄鉱の鉱山は30ヶ所以上あり、磁鉄鉱と褐鉄鉱の2種類の鉄鉱が存在する。

 タイグエン省には鉱山開発業のほかにこうした鉱山資源を原料とする金属加工会社も多く立地しているのが特徴だ。FOMECO社はその一つとして創業した。

 ベトナムは社会主義国だが、1986年のベトナム共産党第6回大会で、ドイモイ(刷新)政策によって計画経済から市場経済化することを決めた。1992年には私有制を認め、私企業を接収しないことを定めた憲法を定め、同時に国営企業改革、株式会社化を進めた。FOMECO社は元々国営企業であったが、2003年には株式会社化し、資本の49%は個人が所有し、51%は今も国家機関が所有している。

 同社の面積は20万平米、従業員1000名を抱え、1000台に及ぶ機械設備を備えている。

 金型の製作からはじまり冷熱鍛造、スタンピングからマシニング加工、熱処理、ペイント・メッキなどの表面加工まで、一貫した製造工程を有する工場を持っている。

 主な製品は創業以来製造しているボールベアリング(売上に占める割合は13%)に加え、バイク・自動車部品(同36%)、建設金具(同28%)、その他(28%)を供給している。

 国内販売と輸出の割合は50%、50%という。主な輸出先は日本、米国、中国というから、同社の品質への信頼感が伺える。

 顧客にはやはりベトナムに進出した日系オートバイメーカーやオートバイ・自動車の部品メーカーが名を連ねている。日本語のできるベトナム人スタッフを多数抱え、営業にあたらせている理由がこれで伺えるだろう。

 同社は日系オートバイ企業と取引をはじめた2000年代から、取引先からの指導を受け、5Sを導入、カイゼングループも社内に多数つくり、コストダウンや効率化、不良品の削減に取り組んできた。

 この過程を同社の担当者は「取引先とも社内の人間も同じファミリーのような扱いを受けた」と感じたという。

 その中で日本のものづくりのやりかたを学ぶ中で同社がつかんだことは顧客に対しても社内でも互いに「ウソはつかない、まじめに正直に対応する」ことだったという。

 「当社はメーカーです。ものづくりをする以上不良品の発生をゼロに近づけるよう努力しますが、不良品をゼロにすることはむずかしい。必ず不良品が出ます。不良品がでた時にするべきことは何か?ウソや言い訳をしてごまかすことではなく、まじめに不良品の原因を突き止め、対策を施し、顧客に二度と不良品を出さないようにすることでした」と長年日系企業と付き合ってきた日本語堪能なニャン氏は強調した。

 そうすることによってFOMECO社は相手先企業からの信頼を勝ち得てきたのだろう。私もかつて貿易商社でベトナム製品を日系企業に輸入販売していたが、不良品が発生しても、その不良品を出した工場との取引を取りやめることなく、日越両企業でその原因を突き止め、対策を施し、日系企業側が技術ノウハウを提供し、ベトナム企業はそれを旺盛に学ぶ姿があったことを思い出した。企業間のパートナーシップと相互信頼が海外におけるものづくりを成功させる鍵となるのだ。

 今回二人の日本語のできるスタッフが取材に応じてくれたが、若い方のチー氏は日本の滋賀、岡山などで電子、半導体、ダイキャストの工場で合計6年間働いた経験があり、帰国してからこのFOMECO社に入社したのだという。

 「日本で働いた経験と、そこで学んだ技術や語学力をベトナムの経済発展に活かしたいという気持ちから、帰国後日系企業に就職することなく、FOMECO社に就職しました」

 おそらく日系企業への就職した方が、労働条件や給与も良かったのかもしれないが、それを選択せずに、ベトナム企業に就職し、自分の生まれた国であるベトナムの経済発展に貢献したいと言える彼を少しまぶしく感じた。

 今後同社は日本向けには建設金具類を、米国向けには自動車部品の輸出を増やしていき、世界的にはインフレによる経済後退の中でも5〜10%の成長を確保していきたいと抱負を語ってくれた。

 日系企業にものづくりを学び、ベトナムの一貫金属加工メーカーとしてFOMECO社がさらに発展することを期待しよう。

フォーエン機械株式会社
PHO YEN MECHANICAL JOINT STOCK COMPANY

プロフィール

1974年ベトナム北部タイグエン省に国営ボールベアリング製造工場として設立。2003年に株式会社化。機械のベアリング及びオートバイ、自動車部品、建設金具その他の製造・販売。2022年売上は8,455億ベトナムドン(約42.2億円相当)。日本語スタッフが営業を勤めている。
 

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