ベトナムが誇る大型クレーンのメーカー、その知られざる姿と実力を紹介

VINALIFT/営業部長ディン・ヴァン・トアン(右端)
右端が営業部長のディン・ヴァン・トアン

 今回ベトナム企業インタビューに応じてくれたのはVINALIFTという会社、それも天井クレーンやガントリークレーンなどの大型クレーン設備の製造メーカーだという。ベトナムと言えば農業国であり、産業としては衣料品や製靴などの軽工業、携帯電話などの電子製品の製造国というイメージで、いわゆる重厚長大産業が発達しているというイメージには程遠い。その重厚長大産業の一角を占めるベトナムのVINALIFTとはどんな会社なのだろうか。同社の営業部長、ディン・ヴァン・トアンしにお話を伺った。本来であれば工場を訪ね、大型の設備を前にしてお話を伺いたいところだが、コロナによる影響で今回もZOOMによる取材となったことを付け加えておく。

 同社は港湾で使用するガントリークレーン(橋脚型クレーン)、工場の天井に敷設するオーバーヘッドクレーン(天井クレーン)の製造を得意とするクレーンメーカーだ。特に港湾でコンテナ荷役に用いられるガントリークレーンはでかい。私も港湾に何度か訪れたことがあるが、何十トンと重たいはずのコンテナを軽々と持ち上げ、貨物船に積み込むクレーンの姿は勇壮だ。

 工場の天井に設置されるオーバーヘッドクレーンも重たい機械設備の移動や資材の運搬にも欠かせないものだ。重たいものを軽々と運搬するクレーンにはどこか男心をくすぐるものがある。見惚れてしまうのだ。

 その大型クレーンを製造する同社は2006年に創業者で現社長でもあるチャン・ヴァン・トゥアンによって設立された。営業部長のトアン氏によれば、トゥアン社長は1971年生まれの本年50歳。ハノイ工科大学の機械科を卒業して木工機械製造の国営工場に勤務したという。

 「1990年代のベトナムは木材の輸出が盛んで、木工機械設備はなくてはならなかったんですよ。トゥアン社長はその木工機械の仕事に従事していました。木材の無計画な伐採が森林破壊につながり、現在は自然林の伐採は禁止されてますけどね」

 トゥアンは仕事の中で気がついたことがあった。当時、ベトナムで用いる大型グレーンはすべて100%輸入だった。輸入した機械を組み立て設置する仕事にも携わった。機械科を卒業したトゥアンはクレーンなら主要な部品は輸入するにしてもベトナム国内でも設計、製造し、組み立てすることができると確信を深めて行った。

 そして2006年、トゥアンはハイズオン省に2万平米の土地を求め、VINALIFTの工場を設立し、大型クレーンの製造販売事業を開始した。

 営業部長のトアンはベトナム北部ナムディン省出身、ハノイの国民経済大学で経営学を学び、2008年にVINALIFTに入社した。VINALIFTの技術面について知識はゼロだったが、工場の生産管理に関わることで社内で技術について学ぶことにもなった。「大学で経営を学んだ後に、入社してから『VINALIFT大学』で機械工学についても学びました。二つの大学で勉強したのと同じですよ」とトアンは笑う。

 VINALIFT社はベトナム国内の需要に応えるほか、現在では米国、カナダ、メキシコ、アルゼンチンの米州に加えて、フランス、イタリア、北欧といった欧州、中東へも販路を伸ばしている。

ハイズオン工場

 設計、製造、組立・設置は自ら行い、どうしてもベトナム国内で製造できない部品は住友やジーメンズなど世界中の信頼における優れた品質のものを輸入して用いている。

 販売にあたっては住友、三菱、JFE、IHI、三井E&Sといった日本のゼネコン各社が自己のプロジェクトにVINALIFT社の製品を組み込んでもらい、フィリピン、ミャンマー、タイなどの東南アジア各国への販売も決まっているとのことだ。

 今や東南アジアでは大型クレーンのメーカーにまで成長したVINALIFT社。その成長の理由をトアンにたずねてみた。

 「東南アジアには大型クレーンのメーカーも他にありますが、名だたる建設会社、ゼネコン各社が当社を選んでいただけているという点で、品質には自信を持っています。もちろん価格という要素も大切だと思っています。品質の確かさに比較してリーズナブルな価格であることでしょうか」と非常に謙虚な答えが返ってきた。

 トゥアン社長はベトナム商工会議所の機関紙の記事にはこう答えている。

 「会社の基礎を築き基準を達成すること、品質の高い商品を納期通りにリーズナブルな価格で提供すること、水力発電所や火力発電所向けの重量物を吊り上げられる、複雑度の高い主力商品に集中すること」の三つの実現に重きを置いてきたと語っている。

 品質については輸出先国の認証を得る必要があり、その一つ一つをクリアしてきている。ISO9001:2015は当然のことながら、日本標準規格(JIS)、欧州マテリアルハンドリング協会(FEM)、米国クレーン工業会(CMAA)などの認証に加え、CEマークも取得している。

大型クレーン製造現場

 世界各国に輸出していることもあり、営業部長のトアンは出張も頻繁だそうだが、日本の印象はと尋ねると「日本の大分県のある企業を訪問したのですが、そのための日程表が送られてきましてね。そこに搭乗する航空機の便名、時間、空港に到着したら何番線の特急電車の何号に何時に乗るかまで細かく記載されていました。極めて細部まできっちり作られた日程表をみて驚きました。他の国ではお客を迎えるにも簡単な日程表が送られてきて、あとはご自分でどうぞという感じなのにね」と日本の仕事の細やかさに感じ入ったとのことだ。

 コロナの影響をトアンに尋ねると「2021年年初の4ヶ月は大きく影響しました。幸いなことにその後次々と大型プロジェクトの話が舞い込んできて、ある国へ最大吊上げ重量150トンのクレーンの話が舞い込み、タイ、カナダ、日本、そしてベトナム国内からも大型プロジェクトの引き合いがあって、4ヶ月の落ち込みを回復して余りあるほどです」とうれしそうに語った。そしてこうも付け加えた。

 「商談はすべて今日のようにZOOMで行っています。出張へ行かなくとも皆ZOOMの向こう側に現れる私という人間を信じてVINALIFTの商品を買ってくれるのです。私はお客さまによく言うのは『VINALIFTの商品を購入するということは、僕という人間を買うことですよ』とね」

 コロナ禍でも順調に成長を続けるVINALIFT社の営業責任者としての自信ものぞかせ、企業のたくましさを感じるインタビューだった。

文=新妻東一

Vietnam Steel Structures and Lifting Equipments JSC
ベトナム鉄骨構造・クレーン設備株式会社

プロフィール

2006年9月創立。代表者はTRAN VAN TUAN(チャン・ヴァン・トゥアン)。鉄骨構造・クレーン設備の設計・製造を得意とするベトナムにおけるトップメーカー。東南アジア、中東をはじめ世界各国に製品輸出の実績。


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