引用元：投資新聞（2021年7月25日）

今年上半期、ベトナムの農業は天候や感染症による苦境を乗り越えて高成長を維持しており、生産力の強化によって食料安全保障を確立した。

生産量が大きく拡大
上半期における農業分野の成長率は3.82％に達した。農林水産物の輸出額は242億3,000万米ドルとなり、前年同期比で28.2％増加している。また、前年同期より32件多い1,644件のフードチェーンでハイテク農業が導入されたほか、各種肉類の生産量は22.58％増の316万トンとなった。加えて、今年の冬～春シーズンの米の産出量は昨年の同シーズンから67.3万トン増えて2,050トンに達し、国内外の需要を十分に満たしている。
このような結果を残すことができたのは、これまで生産力強化や市場拡大、品質向上に取り組み、農業の再構築を重点的に進めてきたためである。新型コロナによる影響が現れていても収穫シーズンの農産物販売ができるよう、早めに対策を打っていた。また、貿易を促進するだけではなく、国内市場においても各チャネルを用いて店頭・オンラインで効果的に販売していた。そして、自由貿易協定（FTA）によるメリットを積極的に調査・推測し、生かしたことで、米や果物、水産物といった主力商品を中心に輸出が大きく成長した。

農産物の販売促進案を策定
しかし、農業・農村開発省計画部のNguyen Van Viet（グエン・バン・ベト）部長によれば、いまだ課題も多く、年間成長率3.0～3.2％、そして農林水産物の輸出額450億米ドルを達成するためには、生産形態の刷新と拡大が引き続き求められるという。また、農産物加工・市場開発局のNguyen Quoc Toan（グエン・クォック・トアン）局長は、収穫シーズンに入った主要産物（リュウガンやオレンジ、ドラゴンフルーツなど）の販売促進案を策定する必要があると指摘し、供給過多を防ぎ、価格下落による生産者の損失を減らさなければならないと述べた。
農業・農村開発省Le Minh Hoan（レー・ミン・ホアン）大臣は各地区および関係機関に対し、天候や水資源、植物・動物の感染症の動きを注視し、助言や指導を迅速に行うよう求めた。また、ハイテク農業、有機農業、バイオテクノロジーによる農業を最大限生かして品質を向上し、輸出を促進する必要があるとしている。第一に、各地域と共同で、栽培面積の大きい主要作物の栽培について再評価し、農家たちが「豊作貧乏」となってしまうのを回避するため、販売可能数量を算出しなければならない。加えて、収穫シーズンの作物に関する年末までの流通案を策定し、あらゆる状況の農家を支援する。とりわけ、企業団体や関連協会との緊密な連携で情報収集を行い、市場の動きに合わせて生産を調整する。そして、商工業部門との連携の下で貿易を促進し、FTAを活用することで市場拡大に努めることも必要だとした。

生産量が伸びているベトナムの農業は、今後も国内外でさらなる市場拡大を期待できることが記事からわかる。各関係機関や部門を超えた連携により、農家の利益が最大化されることを期待したい。（ベトナムニュース邦訳ライター 鶴田 志紀）